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仗助にもしも双子の姉がいたら?ネタ

作者:蜜柑ブタ
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透明な赤ちゃん

 
前書き
透明な赤ちゃん編。


かなり難しかったです。 

 


 音石明は、刑務所行きになりました。
 スタンド使いとしてやってきたことで裁かれたといよりは、部屋から押収された五億円相当の盗品が決めてで懲役3年。
 億泰君と空条さんが今度スタンドを使ったら、地の果てまで追いかけて息の根を止めると脅し、刑務所の方が安全だとビビったらしく、大人しく服役しているそうだ。
 海に落とされた影響で、レッド・ホット・チリ・ペッパーは、ボロボロ。そして精神的に追い詰められたせいで戦いの時のような強さも失われたようで、空条さんが怖いのもありきっと再起不能だろうということだ。
 音石に持って行かれた弓と矢は、部屋から見つかり、無事にSPW財団に回収されて保管されることになった。
 あと、ブルー・ブルー・ローズが音石から奪った寿命は、面会の時に返した。メッチャ感謝され、服役が終わったら、お友達から!って言われて、付き添いで来ていた仗助に睨まれてました。返事はごめんなさいってことで、お断りしました。

 そして…、事件が解決したあとの私達は……。

「も~し、もし! 聞こえてる~!?」
「……はぁ? なんか言ったかのう?」
 あーもう…、ジョセフ・ジョースターさん…、まあ、れっきとした私達のお父さんにあたる人が、メッチャクチャ老け込んでて、苦労しています。
 そりゃ、79歳だもんなぁ…。
 2年前に胆石の手術に、白内障、あと歯は総入れ歯、杖を使わないと足腰も危ない……、そして、メッチャ耳が遠くて会話も大変。
 今、私達は、ジョセフさんを連れて自宅に向かっている途中です。
 ただし! 母さんには会わせません。時々、ジョセフ・ジョースターを恋しがって泣く母のことだから、もし本人と出会ったら大変だ。なので、遠目に見るだけということで。
 あと…、うちのお爺ちゃんにも会わせられません…。だって、お爺ちゃんより年上なんだよ? とんだ雷が落ちるよ、きっと。
 とかなんとか考えてたら、仗助が、ジョセフ・ジョースターさんのことを、ジョースターさんって呼ぶって言った。
 そっか…、そうだよね。いきなり初めて会った人だし…、15年もほっとかれたし(意図せず)、今更お父さんって呼べないよね。
「じゃあ、私もジョースターさんって呼ぶ。」
「……そうか。そうじゃな……。」
 ああ~…、すごい気まずい…!
 ドラマみたいな、感動の対面と打ち解けってならないよ!
 仗助と目が合い、お互いにジョースターさんに気づかれないようため息を吐いた。
 しかし、ちょっと目を離した隙に、ジョースターさんがいなくなった。
 近くにいた人に聞くと、長距離バスに乗っていったらしい。慌てて見たら、札幌行き…って!
「あああああああああああああああ!」
「わあああああああああああああ!」
 私達は、全速力で走って追いかけた。
 うん、たぶん、中距離走のタイムは、一気に縮んだんじゃないかな? って、ぐらい走ったよ。
「じょおおおおお、だんじゃないっすねーーーっすよ! コラァ!」
「まったくーー、もう!」
 走りすぎて横腹痛い、死ぬ…かと思った。
「すまんかったのう。……?」
 ああ…、自販機…ジュースジュース…。
「仗助君…、ミナミちゃん…。何かがわしのズボンを引っ張っとるんじゃが…?」
「へ? あっ、そう…、引っ張られてどっかいかないでくださいよ?」
「じょーすけ、ジュース買おうよ。」
「さんせー。」
「じょ、仗助く~ん、ミナミちゃ~ん!」
「えっ? どうしたんで……、えっ?」
 私が見たのは、ジョースターさんが手にしていた杖が見えない何かに奪われ、軽く振り回されてから落ちたところだった。
「うそ…。」
「姉ちゃん?」
「ちょっ、今見てなかった!? なんか見えない何かがジョースターさんの杖を…。」
「はあ?」
「オーマイゴッド! 仗助くん、ミナミちゃん! スタンドが笑いおった!」
「どこどこ!?」
「姉ちゃん、どうしたんだよ?」
「だから、何かいるんだって!」
「おいおい、いくらボケに付き合ってやってるからって…。」
「だから!」
 その時、野良犬がうなり声を上げ、ナニかに襲いかかろうとした。
「ハーミット・パープル!」
 次の瞬間、ジョースターさんが手から紫色の茨を出し、見えないナニかを絡み取ってそれを持ちあげて両手で受け止めた。

 オギャアアアアアアアアアア!

「…赤ちゃん?」
「なんか泣き声が聞こえるっすね。もんのすごい近くのようだけど…。」
「違うよ、仗助。」
「えっ?」
「ここじゃよ、仗助くん…。赤ん坊じゃ! 丸裸の赤ん坊がココにおるんじゃ…。本物じゃ! 触っとる感触だと分かる『透明』なんじゃ。この赤ん坊…。」
「なっ!?」
「信じられない…。」
 私は、ジョースターさんが抱えている透明な物を手で触った。
 フニフニした柔らかい感触…、そして温かさ。これは…、まごう事なき…、赤ん坊です。
「透明な、赤ちゃんだ。」

 レッド・ホット・チリ・ペッパーの件が終わって、安心したのもつかの間、私達の町は…、杜王町は、決して安心できる場所ではなくなっていたみたいです。


 その後、どうしたかって?
 まず、赤ん坊が何者かに透明にさせられたんじゃなく、赤ん坊自身がスタンド使いだとジョースターさんは分析した。
 丸裸のままでいさせるわけにみかないし、まずお母さんを探さないことにはこの子の能力は解けないだろうということで、まずは赤ん坊用のグッズを買いに。
 あと、触った感じで分かったんだけど、赤ん坊は…女の子でした。
 仗助に赤ん坊をまかせ、私は、ジョースターさんと、ベビー用品を買いに店に入った。
 たくさんある用品の中からどれが良いか聞かれるので、同じ女の子でも、分かるか!っとツッコみ。で…、結局たくさん買っちゃった…。メチャクチャお金かかったけど、ジョースターさんのカード払い。

 で…、赤ちゃんの服やオムツ、そして帽子も被せ、靴下もはかせた。本当に透明で、顔がないから常人が見たら不気味がられるのは間違いない。
 そこでジョースターさんが、一緒に買ってきた化粧品を使い、顔をファンデーションで塗った。
 顔を塗ったことで分かったけど、かなり可愛い子だった。これなら顔立ちも分かり、母親探しの良い情報源になりそう。
 最後に目だけは塗れないので、サングラス。
 しかし…、油断してた。
 赤ちゃんの透明にする力が強まり、ファンデーションも、服も、終いにはジョースターさんの手まで透明にしてしまった。
「ジョースターさん! 手を離せ!」
「えっ? えっ!?」
「早く、その赤ん坊から手を離して! 全身透明にされちゃう!」
 ジョースターさんは、ベビーカーに赤ん坊を乗せた。
 しかし、離してもジョースターさんの手は透明なままだった。
 そうこうしていると、ベビーカーまで透明に。けど、半径30センチぐらいが。
「やばいぜこりゃ~~! 赤ん坊から半径30センチぐらい全てなんでもかんでも透明にしちゃうみたいだぜ~~~!?」
「あっ…。」
「? どうしたんじゃ?」
 私の異変にジョースターさんがいち早く気づいた。
「やばい…。ま、マズいよ…。」
「どうした、姉ちゃ…、っっ!?」

 ベビーカーの下に、ブルー・ブルー・ローズの根っこが…。
 ウソでしょ!?
 今にもベビーカーの下から登って、赤ん坊を狙おうとしてる!

「ミナミちゃん! スタンドを引っ込めるんじゃ!」
「で…できないの…。」
「姉ちゃんのスタンドは、暴走してんだ! 自分の意志じゃ操れねぇ! あっ。」
 っという間に、ブルー・ブルー・ローズの根っこがベビーカーに登ろうとして、ベビーカーを動かしてしまった。
 緩やかな坂道をベビーカーが走って行ってしまう。それを追いかけて、ブルー・ブルー・ローズの根っこが動いた。
「あ、ああ、ああああああああ!」
「マジか!? こんなヤバいときに!」

 なんで!? なんで赤ん坊を狙うの!
 違う! こんなの私の意志じゃない!

 ストレスによって、赤ん坊の力は強まり、ベビーカーを丸ごと消したどころか、周囲にあった木も、地面も透明にした。
 私達は追いかけ続けて、やがて…、ベビーカーが木にぶつかってひっくり返る音がして、赤ちゃんの泣き声が移動して…、そして、ドボーンっと水音がした。
「と、透明が…。」
「水に落ちた!?」
「じょ…、仗助くん、ミナミちゃん…。」
「ち、ちくしょう! 泡さえ見えねぇ! バシャバシャ音立てろよ!」
「仗助くん…。」
「やかましい!」
「あ…ああ…。」
 見ればブルー・ブルー・ローズが、赤ん坊を探すように水の底に現れていた。
「……ごめんなさい。」
「っ、姉ちゃん!?」
「母さんに…、よろしく言っといて。」
 私は、仗助とジョースターさんが止めるよりも早く、水に飛び込んだ。
 見ず知らずとは言え、赤ん坊を肥やしにされてたまりもんですか!
 こんなの物が…こんな物が! 私の精神の具現であるはずがない!

 ヒテイしても、ムダダ

 うるさい!

 ワタシ(私)を、ヒテイするコトは

 黙れって言ってるでしょうが!

 己ヲ、ヒテイスル、コト

「どこにいるのよおおおおおおおお!」
 私は、ブルー・ブルー・ローズの根っこを引きちぎりながら水の中を探し回った。
 手は傷ついても…、私からは、青いバラの花は咲かなかった。
 まさか…、私自身は、能力範囲外!? 自分の傷を治せない仗助と同じ!?
「ミナミちゃん。わし…。」
「来ちゃダメ!」
「これから、死ぬかもしれんから。その時は、君達のお母さんによろしく伝えといてくれ…。」
「えっ?」
「なにしろ、歳が歳じゃからのう…。」
 透明になってしまった片手に、折りたたみナイフが握られているらしかった。
 次の瞬間、ジョースターさんは、ナイフで透明になったもう片手を刺して傷つけた。大量の血が水の中に流れ出る。
「何してるの!?」
「ジョースターさん!」
「…色を、付けておるんじゃよ。水に。」
 流れ出た血が、みるみるうちに水に広がり、水を赤く染める。ブルー・ブルー・ローズとは違う色…。けれど。
 やがて、赤く染まった水の中心に透明な球体のそれを見つけた。
「いた…。仗助!」
「おう!」
 クレイジー・ダイヤモンドが、水の中から、透明な赤ん坊を抱き上げた。
「ジョースターさん…。ムチャして…。」
「格好つけたかったかったんじゃよ。お前達の前で。」
 ジョースターさんは、そう言って笑った。
 ブルー・ブルー・ローズは、その間に消えていた。

 その後、赤ん坊は、ジョースターさんにだけ心を開くようなり、少しでも離そうとするとそこいら中を透明にしてしまうようなってしまった。
 なので、母さんのところに行くことは保留。透明な赤ん坊のお母さん捜しのため、ジョースターもホテルに滞在することになりました。



 
 

 
後書き
透明な赤ちゃん、後の静編は、かなり難しかったです。

ブルー・ブルー・ローズが赤ちゃんを狙って勝手に出現。
ベビーカーがブルー・ブルー・ローズの根っこに押されてうっかり坂道を。
そして追いかけに行くブルー・ブルー・ローズ。そして水に落ちても水底から狙う。
ブルー・ブルー・ローズは、ミナミの意志では動かせないので、本当に勝手に動いています。
ミナミは、この話の時に自分が仗助と同じで、本体である自分が能力範囲外だということを知りました。
 
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