異世界転移した最強の俺、追放されたSSS級冒険者(美少女)を拾う
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追いかけるのは男じゃなくて女にしろ
気づけばエリカとメサイヤによってそのボスは捕らえられた。
後は、アイル神官長達に回収されて、事情聴取になるらしい。
一応周囲を確認して、今回の魔法や問題のあるそれの片鱗がないか確認したが、大丈夫そうではあった。
また、起爆装置となった箱二つも回収してこれから解析であるらしい。
とりあえずは危機が去った、と俺が思っているとそこで俺は、不穏な気配を感じた。
振り向くと、エリカの兄、メサイヤが俺の方を見ていた。
俺は何かを察知した。
「お、俺は今日は遊びに来ただけだから手合わせはしないぞ!」
「いや、してもらうね。この前も負けてしまって、しかもどこにいるのか分からないのに再挑戦できず、けれど次に再開した時は必ずお前を超えてやると自身を鍛え続けた俺だ! まさかこんな所で再開できるとは……この機会、絶対に逃すわけにはいかない」
などと言い出した。
この脳筋が……と心の中で毒づいた俺だがそこで、意外な所から助け舟が来た。
エリカが俺とメサイアの間に入る。
その時やけに不機嫌そうな顔をしていたが、メサイアの方にエリカが向き直ると、メサイヤがびくっと体を震わせるのが見えた。
どんな顔をエリカはしているのだろうと思っているとそこでエリカが、
「兄さん……私の恩人に迷惑をかけないでもらえるかしら」
「え? お、恩人?」
「そう、魔王討伐パーティを組んだ時に追い出されたところを……魔王塗装具したのだけれど、それを助けてもらったの」
「へ、へ~、というかどこのパーティだそれは。可愛い妹のエリカをそんな目に合わせた奴らは、お兄ちゃん許さないぞ!」
「ちなみにそのパーティに誘い込んだのは、今回のボスらしき男よ。……でもその男と、あの魔王討伐パーティの奴ら、それはいいわ。別の件で報復はしたから。それでね、兄さん、前から言っていたけれど……」
そこでエリカは大きく息を吸ってからはいて、
「兄さん、追いかけるのは男じゃなくて女にしろって言われていなかった?」
「ご、誤解を招く表現をするな! お、俺はただ強さを求めているだけであって……」
「それで彼女は」
「……」
「家の方にお見合いの話がいくつも来てるけれど」
「す、好きな女性は自分で探す」
「兄さん、そろそろ……」
メサイヤが自分の耳を手でふさいだ。
どうやら完全にエリカの方が主導権を握っているらしい。
そう俺は思っているとそこでアイル神官長がやってきて、
「いやはや、助かりました。そしてメサイヤ、久しぶり」
「! アイル、なぜここに」
「いえ、自身の強さを求め続けて旅もしたかったのですがやはり私も生活がありますからね。今はあそこの都市の神官長をしているのですよ」
「そう、なのか……前に手合わせをしたのはいつだったか」
「一週間前ですね。たまたま別件で出張した時に……」
といった話を和やかにしている。
どうやらメサイヤとこのアイル神官長は知り合いらしいのだが……どうも話を聞くとメサイヤと同じ類の人間であるらしい。
俺は背筋が寒くなるのを感じた。
早くここから逃げ出したい、そう思っているとアイル神官長がそこで、
「とりあえず今日は都市の危機が去りましたので、打ち上げをしましょう。事前に準備をしておいたのです」
といったような、何となく断れない空気の発言をアイル神官長はしたのだった。
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