| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国異伝供書

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十六話 砥石攻めその十一

「それ以上はです」
「どうしてもな」
「あの者はそうした者ではありませぬ」
「武芸十八般全て素晴らしい」
「また兵を率いることも」
「見事じゃ、しかも家臣からもな」
「絶対の忠義を受けています」
 十勇士達からというのだ。
「そしてあの者の義もです」
「見事じゃ」
「国の主としては五万石でも」
「武士としてはな」
「何処まで行けるか」
「わからぬわ、だからこそじゃ」 
 晴信は確かな顔で言うのだった。
「わしもじゃ」
「今の様に言われますな」
「そうじゃ」
 その通りだというのだ。
「またとない者だとな」
「ではこれからも」
「あの者には働いてもらう」
 真田家の者の中でもとりわけというのだ。
「そしてあの者が望むな」
「天下一の武士にもですな」
「なってもらう」 
 是非にと言ってだ、そしてだった。
 晴信は今度は葛葉城に兵を向けさせた、その状況を見て村上は小笠原に対して難しい顔でこう言った。
「砥石城が落ちた」
「何っ、あの城がか」
「うむ、敵は真田の忍達と内応を使ってな」
 そうしてというのだ。
「そしてじゃ」
「あの堅城を攻め落としたか」
「そうした」
「そうか、信じられぬが」
 それでもとだ、小笠原は村上の話を聞いて彼に答えた。
「あの城を攻め落とされたとなると」
「到底な」
「この城を守れぬ」
「そしてじゃ」
 村上はさらに言った。
「信濃の北もな」
「守れぬか」
「それでだが」
「我等はこれからどうすべきか」
「このまま戦ってもな」 
 武田家と、というのだ。
「敗れてな」
「首を取られるか」
「降るか」
「二つに一つか」
「わしとしてはな」
 村上はここで己の考えを述べた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧