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面白い巨人

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第一章

               面白い巨人 
 かつてアメリカのミシガンにポール=バニヤンという樵がいた。
 生まれた時からとてつもない大きさで母親は自分より遥かに大きさの我が子を見て仰天した。
「どうしてこんな子が生まれたのかしら」
「おい、何だこの赤ん坊は」
 夫、つまり彼の父親も飛び上がって叫んだ。
「御前が産んだのか」
「そうだけれど」
「家よりもずっと大きいぞ」
 外で産んだがというのだ。
「どうやって産まれたんだ」
「産んだらよ」
「こんな大きさか」
「よくこんな子が私の中に入っていたわね」
「全く、どういうことなんだ」
 夫婦で驚いていた、だが。
 赤子はすぐに立って歩いてだ、夫婦ににこりと笑って言ってきた。
「こんにちわ、パパママ」
「喋ったぞ」
「しかも立ってるわ」
「うん、ママのお腹の中で成長したからね」
 見れば黒髪も生え揃っている、目も二人の王を見ている。
「だからだよ」
「話すことも立つことも出来るのか」
「そうなのね」
「そうだよ、これから宜しくね」
 ポールはこう言うとすぐに自分の服を作った、テントの記事を作って木を一本引っこ抜いて削って針にしたうえで縄を糸にしてそうした。
 服を着ると今度は狩りをして多くの獣を調理して食べはじめた、火も使うのを見て彼の両親はさらに驚いた。
「まだ生まれたばかりだっていうのに」
「自分で服を作って」
「狩りまでして火まで使う」
「何て子なのかしら」
「ママのお腹の中で充分育ったからね」
 だからだと言うのだった。
 ポールは生まれてすぐに服を着て大量に食べだした、そして次の日からだった。
 自分で作ったとてつもない大きさの斧や鋸で樵仕事をはじめた、すると一日で伐採された期の山が出来て両親はまた驚いた。
「山一つ分はあるぞ」
「一日でこれだけ切ったのかい」
「昨日生まれたばかりだっていうのに」
「もうこれだけかい」
「そうだよ、じゃあこの木で家を作ってね」
 外見だけは赤子のポールは両親ににこにこと笑って話した。
「そこで一緒に住もうね」
「今の家からか」
「そうしようっていうの」
「うん、三人で住もうね」
 こう言って今度はその家を造ったのだった、ポールは一日ごとに大きくなり大人になった頃には山位の大きさで口の周りは濃い髭で覆われた巨人になっていた。
 そして巨大な家で両親と一緒に住んでいたが。
 両親はその巨人の家の中の端にログハウスを建てて二人で暮らしていた、そのうえで共に暮らしているポールに言うのだった。
「御前が大き過ぎるからな」
「お家の中の家具はとても使えないわ」
「だからこうしてな」
「お家の中のログハウスを建てて暮らしているのよ」
「ははは、お家の中にお家があるんだね」
 ポールは自分の左肩に立って彼の耳に言う両親に笑って応えた。
「そうなるんだね」
「ああ、そうだ」
「あんたが大き過ぎるからよ」
「全く、生まれた時から大きかったが」
「今じゃ山みたいじゃない」
「大きくなったね」
 笑って言うポールだった。 
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