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夢幻水滸伝

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第九十六話 仁王像その九

「あの輩はもう」
「俗物のテロリストだな」
「私利私欲しかない」
「それが偉大な宗教家に見えたのだ」
「高校生でも見てわかることですが」
 つまり自分達でもというのだ。
「それが思想家がわからなかったのですか」
「戦後日本最大と言われるな」
「それでは」
「戦後日本の知性が如何に低かったかということだ」
 吉本隆明が如き輩がそこまで評価されていたこと自体がというのだ。
「北朝鮮を今も賛美している者が普通にテレビに出ているしな」
「北朝鮮は最悪のテロ国家ではないですか」
 ハウオファから見てもそうだ。
「おら達が起きた世界で通っている八条学園でも唯一出身者がいない」
「あの国は日本と国交がない」
 そもそもとだ、室生は言い捨てる様にハウオファに答えた。
「そしてあの通りだ」
「テロに核開発に独裁に」
「偽札に麻薬もある」
 そうしたものが揃っていてというのだ。
「ではだ」
「八条学園もですか」
「いや、こちらは受け入れるかも知れないが」
「あちらがですか」
「経営側があの国に嫌われていてな」
 学園を運営する八条家ひいては八条グループがだ。
「あの国が入学させようとしない」
「人をですか」
「そうだ、だからあの国の人間だけはな」
「八条学園にはいませんか」
「そうなっている、そしてその様な国をだ」
「賛美する知識人が多いのですね」
「日本はな」
 昔からのことであり今もだ、拉致や覚醒剤や独裁の話が出ても一切無視して支持や賛美を続けてきたのだ。
「日本の皇室は反対だがあの国の独裁はいい」
「世襲の共産主義ですが」
 カイもそこを驚いて指摘した。
「あの、これは」
「誰がどう見てもおかしいな」
「共産主義ではないですが」
「あちらの人民が支持しているからいいという」
「あの国の人民なぞ」
「支持するも何もないな」
「それも一目瞭然ですが。それを言えば」
 カイは唖然としながら述べた。
「彼等が反対している」
「日本の皇室もだな」
「そうなりますが」
「日本国民に深く敬愛されているな」
「支持どころか」
「だが、だ」
 それでもとだ、室生は述べた。
「そうしたことを言う連中は違う」
「それはその本人が支持していないだけでは」
「日本国民や北朝鮮の人民ではなくな」
「そうではないでしょうか」
「そう考えていいな」
「そうですね、しかしそうした人達は」
「馬鹿だな」
 室生はそうした者達のことを一言で言い切った。
「そうだな」
「そうとしか思えません」
「そうした連中はオウムのテロも支持する」
 吉本が絶賛したこの宗教の悪事もというのだ。
「権力に反対するのならいいとな」
「多くの人で死んでますけど」
 この話にはコープチッティも呆れた声だった、フランケンの顔がそうなっていた。
「死んだ人や遺族のことは」
「考えていない」
「それはまた何ていいますか」
「しかもオウムは自分達は権力者になろうとしていた」
 クーデタ―を起こしてだ。 
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