夢幻水滸伝
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第九十五話 南洋の星達その一
第九十五話 南洋の星達
瑠璃子達奈良の四人組はこの時太宰に呼ばれていた、その場には中里と芥川も同席している。ただ綾乃は他の勢力の星の者達を東大寺に案内していていない。
太宰は宰相の座から四人に尋ねていた。
「昨日貴女達は南洋の方々を春日大社に案内しましたね」
「はい、あそこに案内してです」
「あと奈良公園にも案内しました」
「それから日本のお宝も見せました」
「阿修羅像なんかも」
「それは何よりです」
太宰はまずは四人が仕事を全うしたことをよしとした。
そしてだ、そのうえで四人にあらためて尋ねた。
「それでなのですが」
「はい、お昼は天平時代のお料理のお店に連れて行きました」
「蘇とか出てる」
「それで赤いお米や黒いお米も食べてもらって」
「随分喜んでもらいました」
「そのことはいいとしまして」
太宰はそちらのことはいいとした。
「問題はです」
「問題?」
「問題っていいますと」
「それは何ですか?」
「食べもののことやないとなると」
「南洋の方々のことです」
太宰が問うたのはこのことだった。
「貴女達は南洋の全ての星の方とお会いしましたが」
「ああ、どういう人等かですか」
「そのことですか」
「一体どんな人達か」
「太宰さんが聞きたいのはそのことですか」
「そうです、既に全員のある程度のことは調べています」
太宰は四人にこのことも話した。
「しかしです」
「実際にはどうか」
「私等が見たあの人達はどないか」
「そのことですね」
「宰相さんがうち等にお聞きしたいことは」
「左様です、どう思われましたか」
太宰はその目を鋭くさせた、そのうえで四人にさらに問うた。
「一体」
「そうですね、悪い人はいません」
「他の勢力もそうですけど」
「個性派揃いですけど」
「ええ人ばかりですわ」
「そうですか。やはり悪人はいませんか」
太宰は四人のその話を聞いて述べた。
「それはよしです、ただ」
「ただ?」
「ただっていいますと」
「何かあります?」
「悪いことありますか?」
「より詳しくお聞かせ下さい」
声は冷静なものだった、だが太宰はその中に強い欲求を込めていた。そのうえで四人にさらに言うのだった。
「一人一人のことを」
「そうですか、ほなです」
「今からお話しますわ」
「どの人がどうやったか」
「今から」
「今色々親睦を深めてるのは戦の後一緒にやってくからやが」
ここで芥川も言ってきた。
「同時にや」
「知る為でもありますね」
「太平洋の星の人達を全部」
「そやからですね」
「うち等にもですね」
「聞くんや、勿論他の奴等からも聞いてる」
四人以外の日本の星の者達からもというのだ。
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