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花の妖精

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第五章

「ピンクは小さな女の子用ね」
「つまり君みたいな」
「いや、私実は三百五十歳だから」
「三百五十歳って」
「オランダで生まれてね」
 妖精は出身地の話もした。
「お婆さんだから」
「小さな女の子かっていうと」
「外見はともかく違うから」
 それでというのだ。
「ピンクはいいわ」
「そうなんだね」
「それでそのお婆さんが言うわよ」
「僕達がチューリップを買うとしたら」
「その色でいけばいいから」
「白と赤だね」
「それでね」
「じゃあね」
「はい、それで行きましょう」
 雄二も若菜も頷いた、そうしてだった。
 二人はそれぞれ妖精に言われた色の球根を買った、そしてだった。
 帰路についたがここで若菜は雄二ににこりと笑って言った。
「面白い経験でしたね」
「いや、まさかね」
 雄二も応えて言った。
「妖精が本当にいて」
「私達の前に出て来て」
「それでどの色のチューリップを買えばいいかアドバイスしてくれるなんて」
「そんな経験はね」
「想像もしてなかったですね」
「全くだよ。ただね」
「ただ?」
「こうした経験もね」
 それもと言うのだった、ここで。
「決してね」
「悪くないですよね」
「うん、じゃあね」
「じゃあ?」
「これからどうしようか」
 雄二は若菜にあらためて言った。
「今日は」
「今日はって予定は」
「若菜ちゃんとデートすることは決めててね」
 それでとだ、雄二は若菜に話した。
「買いものをするまではだったけれど」
「それからはですか」
「考えてなかったよ」
「そうですか、じゃあ」
「じゃあ?」
「お家まで送って下さい」
 笑顔でだ、若菜は雄二にこう提案した。 
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