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女神と星座の導きによりて

作者:草ナギ
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星26 邂逅

えー、あれから三分?五分経ったでしょうか。
 キスされている最中?にサガがびくりと動いたかと思えば、私を抱きしめていた手は肩に置かれ、ベリッと引き剥がされました。
 またもや、なんじゃい?と思って閉じていた目を開けると……
 首から上が全部真っ赤になっていて、正に動揺して涙目にもなってます。っといった顔をしているサガが居ました。
 コレは絶対に脳内で羞恥を感じながら大混乱してる感じです。
 ……貴方はどこの乙女ですか?
 キスしてきたのはそっちで、そういう反応をするのは、どちらかというと私の方なのでは?とか思ったり。
 とりあえず、正気に戻さなければと私はサガに往復ビンタを食らわすことにしました。乙女のキスは安くないのです。
 五、六回叩いた時に手を握られ、叩くのを止められました。

 「……痛いのだが」

 「痛くしてますから」

 つい、にっこりと微笑んでしまいました。きっと今の笑顔はとても良い顔してると思います。
 それに、元々涙目になっていたサガですが、まるでビンタされて涙目になった様に見えてしまいますね。
 ちょっとおかしくてクスクス笑うとサガはびっくりした顔をした後にほんのりと微笑んでいました。
 だがしかし、その頬は手形は付いていないものの、真っ赤になったままでしたので余計に笑いが……ふふふっ。
 なんというか殺伐とした雰囲気になるかもとか思いましたが、そんな事はなく、穏やかな雰囲気が双児宮を包んでいました。

 「真名……よく、帰って来てくれた……」

 「まぁ、意外と長い間見つからなかった事が、奇跡でしたからね。長い休暇をもらったと思えば、ですかね」

 と、まぁ、そういう事にして、沙織やアイオロスについては、はぐらかさなければ……。
 もし、また幻朧魔皇拳を打たれたら、今であれば完成しているでしょうし、完璧に洗脳されて居場所を吐かされたなら……ヤバいです。
 絶対にどんな事をしても二人の事は言いませんよ。もしもの事があったら……。
 うん、それは最後の手段です。
 自惚れではなければ沙織に泣かれてしまいますからね。それだけは勘弁です。
 
 「ところでサガ。白髪のサガは今どうしているんですか?先ほどテレパシーで話しかけられていたんですけど」

 ふと、先程の事を思い出しました。なんだか、今のサガは普通にしてますけど、支配力では悪サガの方が凄そうなのですが。

 「ああ、ヤツは今、気絶している」

 「は?」

 気絶?

 「真名の声を聴いたら、居ても立っても居られなくなってしまって……」

 「…………」

 おおい!それでいいのですか悪サガさん!?呆気なさ過ぎでしょう!
 サガもサガです!なぜその勢いをアテナ暗殺しかけていた時に出さなかったのか!
 いえ、分かってはいるんです……。その時に本格的に身体を乗っ取られて抗う術が見つからなくて苦しんでいた事は!
 でも、だがしかし!駄菓子菓子ですよ!そう思ってしまうのは仕方ないと思うんです!
 こらこら、そこで照れてる場合ではないのですよ。
 180㎝以上の大きな男が照れも……そうだった。
 見目は男性的ですが大変麗しいですから、気持ち悪い処か、母性を擽られるというか……。
 こやつ、お、恐ろしい。(ごくり)
 ま、まぁ、それはその辺の端っこにでも置いておいて。
 
 「とりあえず、私を見つけたのは烏座のコルウスですから、彼に感謝する事ですね。本当は帰ってくるつもりはなかったんですから」

 拗ねてますという雰囲気を出してプイっと顔を背けました。

 「……真名」

 「なんですか?」

 「コルウスならば……死んだぞ」

 …………はい?

 「何を……言って……」

 「コルウスは死んだと言った」

 死んだ……?

 「真名よ。何故私がこの双児宮に居るのか、分かるか?」

 ま、まさか……!!

 「お前を迎えに来たのは確かだが、他にも用事があってな」

 「 !? サガ、貴方、気絶しているのではなかったのですか!?」

 サガの髪が白くなって……!

 「くっくっく、私がそう簡単に気を失うハズなかろう。……確かに、意識は朦朧としていたが」

 最後!最後、小声でしたけど聞こえてますよ!
 完璧に髪が白くなり、目は真っ赤に染まって顔はサガなのに別人の様になってしまいました。
 そう、この姿、人格こそが悪そのもの。私が悪サガと呼んでいる者です。
 
 「私がこの聖域で別れた後、そんなに時間は経っていないハズ。双児宮に元々居たとしても私と別れたばかりの彼にどうやって……!」

 金牛宮だって通らなければならないのに!

 「真名、私は、いや、”私”が昔からしていた事をしに出掛けた。そのついでにヤツには死んでもらった。それだけの事よ」

 昔からしていた事……?

 「 ! 慰問ですか!」

 そう、私が聖域に居た頃も教皇様は勿論、サガやアイオロス、黄金聖闘士の皆は聖闘士を知っているロドリオ村には良く慰問に訪れいました。
 今でもロドリオ村に慰問に行く事は珍しい事ではありません。特に、教皇は。

 「そう、慰問の帰りのついでだ。金牛宮では、随分と遊んでいた様だな」

 見られていましたか……。
 私だって小宇宙を最低限に抑える事が出来るんです。サガに出来ないハズがないです。
 
 「サガ、なぜコルウスを殺したんですか?彼には咎なんて無いハズですよ」

 「お前を見つけて連れてきた。それで十分」

 は?

 「私を見つ……そんな事で!?」

 何言ってるんですか!?この人!

 「見つけてきた事は褒めてやっても良いが、お前の事は誰にも知られる訳にはいかんのだ。本来ならばアルデバランにも消えてもらわなければならないが、ヤツは黄金聖闘士。私とてどうなるかわからん。お前が秘密にすると約束させなければ今頃は幻朧魔皇拳を使って洗脳する所だった」

 ……くっ……コルウス、すみません。

 「……はぁ、コルウスが亡くなって、不審に思われてしまったらどうするんですか?死体だって見つかれば余計ですよ?」

 「それならば、デスマスクに命じている。今頃は処理している頃だろう」

 用意周到ですね、この人。

 「ちなみに、今、この聖域に居る黄金聖闘士は?」

 「アイオリアはコロシアム、シャカとミロは任務で不在。カミュはシベリア、デスマスクは知っての通り死体を処理をしている所で、シュラとアフロディーテは自宮に居る」

 見事にアルデバラン以外出払ってますね……。

 「……もしかして、コルウスに連絡をもらってから、今日私が帰る事を見通して出払わせましたね?」

 「アルデバランに関しては、ヤツの任務が簡単過ぎてしまったからな。早くに戻ってきてしまったのは予定外だった」

 おおう、アルデバラン、危なかった……。約束させて良かったです。

 「アイオリアが聖域に一番近いですし、さっさと行きましょう。見つかったら厄介です」

 これ以上犠牲を出す訳にはいきません。

 「ふん、お前に免じてさっさと上ってやる。感謝しろ」

 「はい、感謝します。だから、早く上に行きますよ」

 そう言って、サガの手を掴み、急かしながら上るのでした。
 善サガも面倒くさいですが、悪サガも面倒くさいですね。まったく、流石同一人物。そういう所は同じですね。
 そういえば、カノンもなんだかんだと面倒な人でしたね。すぐ怒るし、拗ねるし。
 ……流石双子。面倒くさいのバーゲンセールですね。悪の人格を入れると三人も面倒くさい人が居ますよ。
 いや、そういえば黄金聖闘士で面倒くさくない人って少ないですよね。
 双子座だけじゃなかったですね。
 ……頭痛が痛いです。(ワザと言っています)
 幼い頃は皆さん素直で良い子でしたねぇ。あ、多分今でも良い子でしょうね!まだ十四歳のハズです。
 あれ、もしかして年少組は思春期入ってます?難しいお年頃ってヤツです?
 アルデバランからはそんな感じはしませんでしたけど……
 うん、気にしないでおきましょう。
 
 

 
後書き
サガしか出ない話でしたね。(お前が書いたんやろ)
黄金聖闘士が好きだ!だが、双子座も好きなんだ!
サガは無意識に天然入ってるって信じてる!(お前だけじゃい)
ちなみに題名の「邂逅」は久しぶりに会うという意味で「邂逅」です。 
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