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女神と星座の導きによりて

作者:草ナギ
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星13 女神降臨

 アテナがアテナ神殿の神像前に降臨します。
 教皇様に黄金聖衣を纏い集合をかけらました。
 心で確かにそろそろって教皇様が星読みで読んでいたらしいけど、今日かよ!と思って居住部屋のあるカレンダーを見たら

 八月三十一日。

 あ、明日じゃん。

 そう、城戸沙織嬢の誕生日やん。なんて冷静になってカレンダーを見て……、自分、気付くの遅えええええ!!とか言ってる場合じゃねぇ!なんて、また口調が悪くなってしまいましたね。イッケねぇ☆
 まぁ、真面目な話、ぶちゃけ、アテナは皆に望まれて生まれるのではありません。
 ”地上の覇権をめぐり、守る為に”生まれるのです。
 一人の人間として生まれるのではないのです。
 私には彼女を”女神”としてみる事は、アテナが自覚するまで恐らくありません。多分。
 何故かって?だって、赤ちゃんで生まれてくるんですよ?生まれた瞬間から小宇宙を纏って明らかに”私は女神です”と言わんばかりに登場するんですか?
 まぁ、わかりませんけど。
 とにかく、今夜です。
 恐らく日付が替わると共に降臨されるのでしょう。
 ……クラッカーの準備は十分か?


 □■□■□■□■□■□■


 はーい、此処はアテナ神殿の神像前!
 しかもアテナ 降 臨 !
 って、ふざけてる場合ではないのです。
 一瞬だけ物凄い膨大で清らかな小宇宙を感じたと思ったら神像前に現れました!
 女神、アテナ(赤ん坊)が!
 神像前に集まった黄金聖闘士の皆さんは全然動きません。すんごい茫然としています。
 え、何か反応しましょうよ。
 あの教皇様でも動きません。
 このまま赤ん坊を放置していられません。
 私は動く事にしました。

 「真名?」

 隣に居たカミュが怪訝そうにこちらを見ました。ふふっ大丈夫ですよ。
まずは教皇の前に跪きます。

 「教皇」

 「真名か……」

 あれ?なんか私が動くのを待ってました、みたいな態度ですね。
 多分、私がっというか、誰かが、なんでしょうね。
 とりあえず教皇に進言しました。

 「このままではアテナのお身体が冷えてしまいます。アテナ神殿にお連れした方が良いかと……」
 
 「うむ、そうだな」

 教皇様がそういうとアテナに近付き、抱き上げてアテナ神殿の中に入っていきます。
 連れていかれるアテナは不思議そうに教皇を見上げてました。……めっちゃ可愛い。
 おおっと、萌えてる場合ではないのです。
 皆さん教皇様を見つめて固まったままなんですもの。
 私は皆さんの硬直を解く為に手を叩きました。

 「はい!皆さん!静粛に!」

 「いや、元から静かなんですが」

 私が動いた事で既に硬直から解けていた?カミュが私にツッコミます。
 ちょっと言ってみたかっただけですよー。
 皆さん、どうやら私の一言で硬直が解けたみたいですね。
 うーむ、硬直というか緊張ですかね?
 なんか緊張が”解けた”というか、”脱力”した感じになってました。
 むむむ、どうしたんでしょう。

 「真名……、お前というヤツは」

 「なんていうか、お前らしいといえばお前らしいが」

 「実はここに用意していたクラッカーがあったり……」

 マントで隠してましたが後ろの腰に括り付けていたクラッカーが……。

 「それ、絶っっっ対使うなよ。フリじゃないからな」

 おおう、デス君にまで念押しされた。まぁ、当たり前ですけどね。
 しかし、アテナはこうして降臨されました。
 サガは……、泣いとる。めっちゃ泣いとるがな。滝涙流しとる。
 アイオロスもちょっと涙ぐんでますけど、サガ程ではないですね。サガの背中を叩いて慰めてる感じです。
 デス君とシュラはなんか強張っていた顔が私のクラッカーで強張りがなくなりましたけど、ちょっと神妙な顔して二人で話してます。
 年少の皆さんは、おお、興奮と放心、驚き?で、ありますが、ちょっと静かにわいわいしてますね。
 当の私ですが、きっとこの後、改めてアテナにお目通りできるのでは?と考えています。
 登場だけですからね。ある意味待っていた……女神が降臨された訳ですからね。でも、教皇様の反応はちょっと妙でした。普通なら女神が降臨された時、直に抱き上げて、

 「女神が降臨された!」

 とか、何か言いそうなモノなのに、固まって見守るだけ。うん、多分あれは見守ってました。さっきも思いましたが、誰かが動くのを待っていたかの様な……。なんか、怪しいです。
 ……ふぅ、なんて、怪しんでも何かが始まる?訳でもなし。今は気にしないで措きましょう。
 
 ━━━━━皆の者、アテナ神殿に来るのだ

 お、教皇様のお呼びじゃな。
 
 「皆さん、それじゃぁ、行きますか。では……、整列ぅー!」

 「するか、あほ」

 「カニさんは後で双魚宮裏に来なさい」

 「なんでだよ!!」

 そんなやり取りをしていたら周りの皆さんは笑っていました。どうやら落ち着いた模様。良きかな良きかな。
 

 □■□■□■□■□■□■


 そして皆でアテナ神殿の謁見の間にて教皇様が待っていました。
 
 「集まったようだな」

 教皇様に向かって十二宮順に並びます。
 そしてその順番にアテナに謁見します。
 皆さんアテナの入っている籠の近くまで行きますが、そこまでで後は傅き頭を垂れるだけで留まっていました。
 そして、私の番になりました。

 「魚座の真名」

 「はい」

 私はまっすぐアテナに近付きます。皆が傅いた場所よりも近くに。
 それに皆さん息を飲む音が聞こえました。
 そんな事気にせずアテナにもっと近付きます。

 「真名!」
 
 咎める様な声がしましたが気にしません。
 そして、私はアテナの顔を覗き込む事が出来る程近付きました。
 するとアテナは私を見上げて不思議そうな顔をしました。
 その顔を見た私は双魚宮の花園で植えてあるオリーブの枝と棘を取り去ったキュアローズ。青薔薇をマジックよろしく取り出します。
 すると意外とわかるのか、驚いた様な感じにアテナは目を見開いたかと思うと、きゃらきゃらと笑い出しました。
 そんなアテナが愛おしくて思わずといった感じに言葉が出ていました。

 「アテナ、ご存知ですか?オリーブと青薔薇の花言葉」

 オリーブはともかく、この時代に青薔薇の花言葉があるかは忘れました。でも、この子の誕生は戦いだけではなく、ちゃんと人間の女性としての幸せも感じてほしいと思うのは私がイレギュラーだからでしょうか?
 どうか、この子に運命に負けない様な加護が、ふふっ、女神自身なのに加護は変ですかね?幸せがありますように……。

 「オリーブは”平和”、青薔薇は”奇跡”、”神の祝福”というんですよ。ふふっ、そういえばオリーブは貴女様の木でしたね」

 そう言って仮面越しですが微笑みました。
 そっと持っていたオリーブの枝と青薔薇を”赤ん坊”の隣に添えます。誕生を祝福するかの様に。
 私の小宇宙を纏らせているので簡単には枯れないでしょう。
 そして、アテナに特大な敬意を表して傅き、頭を垂れます。
 それを見ていた教皇様はただただ静かに見守ってくれていました。
 そんな教皇様にそっとお辞儀して、アテナと教皇様から離れます。
 私の行動を見ていた皆さんは信じられない者を見たと言わんばかりの顔をしていましたね。
 つい、おかしくって笑ってしまいましたよ。
 
 「真名、笑っている場合では……」

 「はい、わかってますよ」

 ふっとアテナと教皇様を振り返り、籠の中に居るとわかっていますが、そっと手を振るのでした。
 
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