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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百二十九話 スズキが恋をしてもその四

「一体」
「決まってるじゃない、二人共合格したら」
「その時にですか」
「交際をはじめるのよ」
「そういうことですか、つまり」
「あたしとしてはね」
「もう交際はですね」
 そのこと自体はとだ、僕は日菜子さんに問うた。
「決まってるんですね」
「そうよ」
「そうですか」
「だからね」
「今はですね」
「二人共受験頑張って」
「推薦で、ですね」 
 また日菜子さんに尋ねた。
「合格ですね」
「それを果たして」
 そしてというのだ。
「無事にね」
「推薦入試が終わったら」
「そのときにね」
「交際をはじめられる様に」
「していくわ」
 受験勉強を頑張ってというのだ。
「勿論相手の子にもね」
「そういう風にですか」
「言うし」
「じゃあ本当に」
「二人共合格したら」
 その時はというのだ。
「交際開始よ」
「そうなりますね」
「いや、あたしもね」
 ここでだ、日菜子さんは僕に話した。
「まさか昨日までね」
「誰かとお付き合いすることは」
「考えてなかったのよ」
「それがですね」
「昨日の夜に」
 井上さんと相手の人を見た直後でというのだ。
「急にそうなったのよ」
「まさに一変ですね」
「そうだったわ、けれどね」
「それでもですね」
「これも縁だし、相手の子もね」
 その人もというのだ。
「別にね」
「悪い人じゃないからですね」
「むしろ結構いい子で外見もタイプで」
 それでというのだ。
「これならって思うから」
「それじゃあ」
「そう、もうね」
「受けるってですか」
「だから決めたのよ、最初はびっくりしたけれど」
 それがというのだ。
「落ち着いてね」
「それならってなって」
「二人共って言ったのよ」
「そうだったんですね」
「いや、急に変わるってあるわね」
 日菜子さんは一変という言葉を今度はこう表現して僕に話してくれた。
「それまで何ともなかったのが」
「それがですね」
「本当に襖を返すみたいっていうか」
「襖ですか」
「畳かも知れないけれど」
「それじゃあ忍者ですね」
 僕は日菜子さんの今の言葉に忍者映画とか漫画のこの忍術を思い出した、もう忍者ものの定番と言っていい。
「畳返しですと」
「じゃあ何て言えばいいかしら」
「そう言われると」
 これはだった。
「困りますけれど」
「じゃあ何でもかしら」
「結局はそうですかね」
「じゃあ障子にしておくわ」
 日菜子さんが選んだのはこちらだった。 
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