| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百二十八話 スズキだけれどその十四

「長生き出来て」
「死ぬまで、ですか」
「働けたなら本望です」
「そうですか」
「はい、百二十歳まではわかりませんが」
「そこまでいけたら凄いですからね」
 今でも百二十歳は長寿だ、人間五十年だった当時では怪物扱いだったことは言うまでもないだろう。
「ですが」
「はい、私はです」
「天海僧正の様にですね」
「より生きて」
「生涯現役ですね」
「そうしていきたいものです」
「そうですか、そうなると」
 ここで僕はまたあの人を思い出した、それで畑中さんにもお話した。
「大学の方におられる」
「博士ですね」
「あの人みたいになられますか」
「あの方は私が学生時代の時もです」
「大学におられたんですか」
「当時からかなりのご高齢で」
「七十年位前ですか」
「はい、私の高校時代にです」
 戦前の話だ、当時は尋常小学校が六年で中学が五年そして高校が三年でその上に大学の四年があった。
「もっと申し上げますと中学時代には」
「もうですか」
「大学におられて」
 そしてというのだ。
「あのお姿でした」
「そうだったんですね」
「小学校の時にもお見掛けしましたし」
 畑中さんが子供の頃からとなると八十年以上前だ。
「その時まだ江戸時代生まれの方もおられました」
「ああ、八十年前なら」
「はい、まだ」
「それでその人もですか」
「八条学園が創設された頃には」
 明治の初期だ、その頃に創設されている。
「もうです」
「大学におられて」
「教授だったとか」
「そうだったんですか」
「そうしたお話も聞いています」
「じゃああの人は」
 噂通りにだ。
「江戸時代生まれで百五十歳は」
「普通に超えておられるかと」
「一体お幾つなんでしょうか」
「私が思うに二百歳です」
「人間の限界超えてますね」
 生物としてのそれをだ。
「本当に錬金術か何かで」
「仙人ではないかと」
「畑中さんは思われていますか」
「はい」
 畑中さんとしてはだ。
「その様にです」
「仙人ですか」
「とかくあの方は」
「何か特別な力で、ですね」
「長寿を得ておられます」
 その尋常でない、噂によると不老不死のそれをというのだ。
「どう考えても」
「そうですか」
「ですが私は」
「錬金術とか仙術は」
「身に着けていません」
「あくまで鍛錬と、ですか」
「入浴で」
 こうしたものでというのだ。
「健康を保ち。健康診断もです」
「毎年ですか」
「受けて。食事もです」
「考えておられますか」
「身体にいいものをバランスよく多く」
「そうしてですか」
「口にして」
 そうしてというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧