夢幻水滸伝
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第九十三話 奈良会議その二
「用意するで」
「随分な宴になりそうやな」
「そやな、それでな」
「それで?」
「その百人以上からな」
「情報を手に入れるか」
「そうするで」
このことは変わらないというのだ。
「ええな」
「そやな、ほなな」
「やったるで」
「ああ、会議で決めるな」
「そして情報収集も行う。あとな」
芥川は中里に目を光らせてこうも話した。
「もう一つあるで」
「もう一つ?」
「そや、こっちは情報を仕入れて会議を思うままに進めるけれどな」100
それでもというのだ。
「相手にはな」
「させへんな」
「それが外交の理想や」
「自分の思う様にしていくか」
「そうや、相手に手の内は見せへんでな」
そのうえでというのだ。
「ことを進めるんや」
「それが理想でやな」
「理想は目指すもんやろ」
「ああ、現実を見ながらな」
理想と現実、その二つを常に見てどうしていくか。これは政だけでなく世の中のあらゆる事柄についてそうであろう。
「そのうえでな」
「こっちの世界に来てよおわかったな」
「ほんまわかったわ」
政や戦に携わってとだ、中里は芥川に答えた。
「理想があって現実があって」
「その両方を常に見ながらや」
「やってくもんやな」
「理想を馬鹿にしてもな」
「理想は目標やからな」
「目標がなくて現実だけ見てもや」
そうしてもというのだ。
「その場その場の場当たりになったりするからな」
「現実主義も下手したらな」
「現実は言うまでもなく大事やが」
「目標は必要やな」
「それがないとほんま場当たりになるわ」
「何事もな」
「そんなん行き詰まるわ」
そうなるとだ、強い声で言う芥川だった。
「やがてな」
「それでやな」
「理想、目標は持ってな」
「そのうえでやな」
「現実と見て何が出来るか出来へんか」
「何をせなあかんか」
「そう考えていってや」
そのうえでというのだ。
「やってくのが政治や」
「そういうことやな」
「そや、それで今回もな」
「理想はある」
「そこから現実を見てな」
そのうえでというのだ。
「会議成功させるで」
「わかったわ」
「そういうことでな。しかしほんま星のモンが全員集まるとかな」
太平洋の星の者達が全てというのだ。
「これは僕もな」
「予想してへんかったな」
「ああ、ちょっとな。けどな」
「けどっていうと」
「太平洋の連中は派手好きお祭り好きばかりやしな」
「明るいお国柄の奴多いしな」
「むしろ日本は静かな方や」
自分達の国はというのだ。
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