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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百二十八話 スズキだけれどその三

「井上さんだよ、ただ」
「隣の人な」
「あの人と同じクラスの人だよな」
「D組の渡辺先輩だぜ」
「美術部の」
「ああ、同じクラスで」
 そしてとだ、僕は皆に応えた。
「同じ部活で」
「あれうちの制服の一つだよな」
「白ランだな」
「あれ元々海軍の軍服だよな」
「夏の礼装が元だよな」
「うん、しかもね」
 その人の格好の詳細を思い出した、うちの学校の白い詰襟の制服は本当は肩章はないけれどそれがあった。
 それでだ、僕は皆に話した。
「肩章があるって士官の服なんだよね」
「海自だと幹部な」
「幹部自衛官だよな」
「あの人肩章してたしな」
 気付いている子もいた。
「あの人海軍士官か」
「その恰好だな」
「ということは」
 僕はこのことから察してだ、皆に話した。
「あの人海軍士官の役なんだ」
「舞台のか」
「そっちのか」
「そっちの役やる人か」
「ってことは」
 僕はさらに言った。
「あの人がピンカートンを演じるのかな」
「ああ、蝶々夫人のな」
「軽い海軍士官だよな」
「アメリカ軍のな」
「あの人だったな」
「うん、あの役を演じる人だね」
 僕はこう察した。
「つまりは」
「そうだな」
「何かの仕事で一緒か」
「それで一緒にいるのかね」
「そうかもね、しかし」
 ここで僕はさらに言った。
「何か引っ掛かるね」
「引っ掛かる?」
「何がだよ」
「どうしたんだよ」
「いや、言葉では言い表せないけれど」
 正直何と言えばいいかわからない、その引っ掛かるものについてだ。それで今の僕はこう言うしかなかった。
 それでだ、僕はこれ以上井上さんとの話を止めてだった。クラスに戻ってその仕事に入った、そのうえで。
 この夜はクラスで一泊となったけれどだ。
 皆寝袋を出したところでこんな話をした。
「そのまま外で寝たらまずよな」
「ああ、それ風邪ひくぜ」
「夏じゃないからな」
「風邪ひいて大変だぜ」
「寝てる時が一番まずいからな」
「そうそう、何でもね」
 僕も皆に話した。
「野宿の時そのまま寝たら」
「夏以外は寒くてな」
「夜は冷えるからな」
「一発で風邪ひくよな」
「そうなるよな」
「うん、だから僕達もね」
 今もだ。
「ちゃんとね」
「寝袋に入ってな」
「そうして寝ないと駄目だよな」
「風邪ひくから」
「今はな」
「うん、そしてね」
 そのうえでだ。
「朝まで寝ようね」
「そうしような」
「しっかりとな」
「あとね」
 僕は皆にさらに話した。 
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