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異世界は神皇帝と共に

作者:黒鐡
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第2巻
  新たな拠点

とある日の事だった。

「お父様からです。これを読んだら王宮の方へ来て頂きたいとの事です」

「俺に?早馬で届いたって事は急ぎの用なのか?」

「はい。例の事件解決の謝礼として、一真さんに爵位を授与したいと」

「「「爵位!?」」」

エルゼ達が驚愕の声上げてたが、一国の姫であるユミナの結婚相手には身分ってのが必要となってくるみたい。とは言え、俺はプトレマイオス神国王である創造神黒鐡の事は秘密でも大公についても公式発表しない。

ま、あちら側にとっての体裁を整えたいと言う事なら必要とは言え、こちらには既に爵位もあれば神皇帝と言われた俺に今更爵位をくれますと言われても困る訳だ。

「それって断る事は可能か?」

「もちろん断る事もできますが、その場合は公式の場で理由を挙げて辞退してほしいとの事です」

「「「辞退!?」」」

コイツらはなぜ声を荒げているんだろうか?

「婚約の事は置いとくとして、爵位まで辞退する事はないでしょうか?」

「俺にとって爵位もだが必要ない事だ。元々貴族になる事自体が興味の無い事だし、国に仕えるのは義務や責任を持って領地持つ暇人でもない。出身国がプトレマイオスだし、実際王と大公を兼用してるような身でありながら神皇帝と呼ばれる俺に今更他国の爵位をもらっても嬉しくないがな」

「確かに一真は既に爵位持ちだから勿体無い事はないものね」

リンゼが琥珀とドライグの頭撫でながら静かに呟いたり、エルゼが爵位持ちだから必要ない事だと理解しながら正直な意見を言ってくる。

「それで、何と言って断るでござるか?」

「本来なら冒険者稼業が合ってるからと言おうかと思ったが、我が神国流な正装を着て行こうと思う。着替えて来るからちょっと待っててくれ、ドライグはこっち来い」

「相棒に呼ばれては行くしかあるまい」

で、俺の部屋に戻ると早速スーツに着替えて通信機から呼び出す事に。暇な女性隊員はいるなら秘書代行として来てもらいたく呼ぶ、拠点D×Dにいる朱璃や朱乃を呼ぶ訳にもいかない。

『こちらトレミー3番艦ブリッジです』

「桜花か。今暇な女性隊員はいるかな?」

『暇な女性隊員?「秘書代行兼側室代表として来てもらいたくてね」なるほど、少々お待ち下さい。シフト表を確認しますので』

しばらく経つと桜花と沙紀が来る事となり、早速空間切断により来てもらった。プトレマイオス神国は伝説や幻の国と言われてるし、今現在もどこにあるのかさえ知られてないからだ。

秘書服を着た桜花と沙紀、二人で秘書代行兼側室代表兼護衛って感じで。俺もスーツ着てるから三人だけ浮くと思うが気にしない方向へいきたい。エルゼ達にも王宮へ来てほしく、授与式に出席ではなく単純にユミナが世話になってる者らに直接会って礼をしたいんだと。

「あ、一真さん」

「一真?その格好は何?」

「それと後ろにいる人は誰でござるか?」

「その服装は見た事のないですが」

「これは俺達流の正装だ、で、コイツらは分かりやすく言うと側室代表で来た者だ」

「「「側室!?」」」

側室って言ったら畏れ多いと思った三人娘だが、ユミナだけ納得してる様子だった。俺らの格好も見た事ないのは当たり前だと感じたようだし、ドライグは俺の中に戻らせたし、琥珀は三人娘に預ける事にした。置いてくのはかわいそうだ。

俺が使うゲートを使い、王宮のユミナの部屋へ出るが寝室ではなくゲストルームみたいな場所だと思えばいい。それに一々驚かれては困るとの事で、トリストウィンに言われてこの部屋からなら出てもいいと言われている。

部屋を出ると警備の騎士達から見られるが、俺らの事を知ってるから先導するユミナと俺を見て態度を改める。正装だけどこの世界にとっては不思議な格好だと思われてる。回廊の奥にある部屋の扉を開けるとトリストウィンとレオン将軍、ミスミド大使であるオリガがお茶を楽しんでた。

「お父様!」

「おお、ユミナか。元気そうで何よりだ」

「お前もなトリストウィン」

「その声は一真さんか。服装で分からなかったが、もしやそれがプトレマイオスで言う正装なのかね?」

「まあな。紹介しよう、俺の側室兼護衛の桜花と沙紀だ。今回は側室代表として来てもらった」

俺が側室兼護衛だと言ったらやはりと言うか、国王とその側近らも固まっていたな。いくらプトレマイオスの正装は知っていても側室を連れて来たのだから、緊張感が出ていて失笑してしまうとこだった。

俺も桜花と沙紀も堂々としてるが、三人娘は土下座状態?いや平伏の状態と言えば分かるのか?スゥの時と同じ反応だったから覚えてるけど・・・・すると俺の名を呼ぶ狐の耳と尻尾のオリガさんが側に来てた。

「一真さん。今回の件は本当に感謝しています。貴方はこの国の国王陛下の命の恩人であり、我がミスミド王国の恩人でもあります。いつか我が国に来る事があれば、国を上げて歓迎しますよ」

「まあ当然の事にしたと思ってるからそう頭を下げるな。俺はただ当たり前の事をしただけの事、それよりアルマは元気にしておるかな?」

「ええとても元気にしておりますよ。もし一真さんが来ると分かれば連れて来たのですが・・・・この白い虎と赤いドラゴンは?」

「白い虎は分かりやすく言えば白虎、神獣『白帝』本人。こっちの赤いドラゴンは赤龍帝ドライグと言えば分かるかな?」

『初めまして、我が主から紹介されましたが今は主より琥珀と名付けられております』

『相棒に紹介されたが俺の名はドライグ、赤龍帝ドライグと言えば分かると思う』

「白虎である神獣『白帝』様と創造神黒鐡様と一緒にいたと言われる赤龍帝ドライグ様!」

隠すよりも堂々と紹介した方が慣れると思い紹介したが、やはり予想通りのリアクションだった。琥珀とドライグのサイズはチビだが、波動を感じたらしいのか俺ら以外の者らがあと一歩で平伏するとこだった。

すると背中に叩かれた感じがあったので振り向くと将軍がいて、挨拶代わりに背中を叩く人はこの国ではコイツしかいない。

「久しぶりですな一真さん!その虎とドラゴンは?『白帝と赤龍帝と言えば分かるか?』何と!?」

「それとそこの二人は俺の側室、将軍を鍛えようと思ったのだが。ガントレットを持ってるって事は武闘士なのか」

「側室を連れて来たとは驚きですぞ。この後、軍部での訓練がありまして私は『火焔拳レオン』と言う二つ名を持っている」

「あ、あたし知ってます!炎を纏うその拳で、メリシア山脈に巣くう大盗賊団をたった一人で壊滅させた火焔拳使いの使い手!その他にもストーンゴーレムとの死闘とか色々!」

「おう!よく知ってるじゃないか!お前さんも武闘士か。女で武闘士って珍しいな!」

レオン将軍の二つ名は調略の時に知ってたし、無反応と言うよりポーカーフェイスで反応してた俺とは違い過剰反応したエルゼの腰に掲げられた流線形の左と鋭角な右の左右非対称ガントレットを見たから嬉しそうにしてた。

「どうだ?お前さん、この後の訓練に参加せんか?」

「参加させて頂けるので!?」

「ところで一真さん。爵位授与の件だが、その様子だといらないようだな」

「ああ。こっちはプトレマイオス神国の神皇帝と言われた者だ、いくら国王の命の恩人に対して何も報いがなくとも神皇帝がしたと流せば問題ない。そろそろ我が神国が存在してると宣伝できればいいんだけどね」

一応今は国王と神皇帝同士だからか、体面や体裁も関係ない。すると突然扉が開いて誰かが入ってきた、誰かと思えばシャルロッテか。

「ここに一真さんが来ていると聞いたのですが!」

「落ち着けシャルロッテ。それより何かあったのか?」

「何かあったのか?じゃありませんよ!解読が全く追い付かなくて困ってるんです!この眼鏡は半永久だと言っておりましたが、先程から解読しようとしても解読できないのです!」

「解読できない?・・・・ああこれは充電切れだな」

「充電切れとはどういう事です?」

「もしかしてコイツを太陽の光に当てないままにしてた?」

俺は翻訳眼鏡を受けとり見ただけで分かったが、充電切れで動かないままとなってた。俺は窓から当たる太陽光を眼鏡ケースに当てとくだけで充電完了、もしかしてシャルロッテはずっと缶詰状態のようだ。

翡翠色の髪はボサボサで目の下には隈がハッキリと出来ていて、目は赤くなっていたから相当徹夜でやってたのだろう。眼鏡とシャルロッテに太陽光を当てると徹夜前の状態に戻した。いくら研究肌を持っていてもその前に女性なのだから。

「コイツは太陽の光を取り込む事で充電しないと動かないんだよ。この前あげた眼鏡ケースに眼鏡を仕舞わないと充電切れになってしまうんだ」

「なるほど。道理で動かなかった訳ですねありがとうございます」

「一応、それの管理はきちんとしておけよ、シャルロッテ。もし帝国にでも流れたら面倒な事になりかねんからな」

「了解です!」

トリストウィンに元気よく挨拶しながら去っていくシャルロッテ。まあ太陽光を当てた回復魔法みたいな感じだからか、あの道具を手に入れてから研究室に籠りっぱなしのようだ。文字通り缶詰状態だから身体を壊しても可笑しくない状態。

「今の・・・・宮廷魔術師のシャルロッテ様?」

「ああそうだよリンゼ。あれでも王国一の魔法使いだが、魔法の話は今度にしてもらった方がよさそうだ。あのテンションだと古代精霊魔法の話を聞かされて実験に付き合わされるから、さてと俺らは授与式に出ればいいんだよな?」

「一真さんは準備完了らしいから私らも準備しよう。ちょうどプトレマイオス神国が存在してるとその場で言ってみたかったのだよ」

リンゼと八重はエルゼの訓練見学、琥珀とドライグは桜花と沙紀に預かればいいんだし。で、爵位授与式に出て辞退したが我が神国であるプトレマイオスが存在してるとアピールするんで家をもらった。

「余の命の恩人であるそなたに爵位を授けよう」

「だが私には必要ない事、プトレマイオス神国の王兼大公をしており神皇帝と呼ばれた者なので」

「そうだったな。ならば無理強いはしないが、このままお礼の言葉を送るだけでは創造神黒鐡様に失礼だと思う。そこで謝礼金と冒険拠点となる土地を用意した。爵位の代わりに受け取ってほしい、そこだけプトレマイオスの領土だと分からせれば領民は納得するであろう」

「なるほど、では謝礼金と土地は受け取るが豪邸は我が神国流で建ててもよろしいか?」

「よかろう。そしてこの度は大義であった。プトレマイオス神国の神皇帝としての活躍をますます期待している」

授与式には目と翼以外は国王と変わらん態度と姿、一歩後ろには側室兼護衛の桜花と沙紀。西区のパララン通り2Aは、外周区で裕福な層が住む区域らしい。

土地はもらったが更地のままとなり、まだ家が建ってない状態でもここだけ我が領土に代わりはない。

「で、どのように建てましょうか?ご主人様」

「元が一軒家だとしても我が神国流にするのだから最新機器を付けた魔改造にしてしまおう。久々に創造の力を使って内装はそちらで任せる」

「了解しました」

創造の力によりあっという間に一軒家が建つと同時に、プトレマイオス神国からゲートでやってきた女性隊員と男性隊員。服装は様々あり、例えばメイド服を着た女性隊員もいればコックや庭師をやってる男性隊員も。

ここ王都は城を中心にして、内周区と外周区に分かれている。内周区は王族や貴族に大商人が住んでいて、川を挟んで外側に外周区が存在してる。外周区には東西南北の区が存在してて、北は湖があるので北区は存在しない。

「西区である富裕層が多く住むエリアに土地だけもらえるとは有難い事だ」

「ご主人様。内装も完璧になりましたので確認をお願いします」

俺はメイドに連れられて玄関から入るが、やっぱ現代風な屋敷の方が落ち着くわ。キッチンに大浴場、各部屋を見せてもらってから余った土地を使って鍛錬場とレース場も創った。

拠点D×Dより小さいがこのぐらいだろうよ。それに一度下賜されたのを返すのは失礼に当たる。相手のメンツを潰す事にもなりうる、セキュリティに関しては二十四時間監視カメラとオートマトンが走り回っている。

最初土地だけもらって魔改造する時も驚いてたが、王金貨二十枚もらった事も相当驚いてた三人娘。王金貨は白金貨の上の貨幣で、王金貨一枚で白金貨十枚だからなのか余り出回らない貨幣だからとか。

「俺らで言う二千円札みたいな感じか」

「分かりやすい例えですね。王金貨一枚で一千万、全部で二億円と土地を貰える事は安いか高いかで聞かれたらどう答えます?」

「うーん難しい質問だな。王金貨もアイツのポケットマネーらしいし、まあいいとして全部揃ったのならアイツらを呼ぶとしよう」

「では俺達は事前に言われた配置に立ちますか」

で、ユミナ達一行に準備完了と言ったので関所まで来てもらい登録を済ませてから俺がいる玄関まで来た。

「ここが一真さん流の家なのですね。気に入りました」

「そういう事だ。ま、デカい家だが掃除の事は気にすんなよ。五人で暮らしたとしても変わらないのだから」

「「「え?」」」

三人娘は予想内の反応をする。

「あの・・・・一真さん?五人って拙者達もここで暮らしてもいいでござるか?」

「何言ってるのやら。ここは我が領土となったのだし、今更五人増えても変わらないだろう?それに俺は既婚者だ、土地はアイツからくれたが家はプトレマイオス流に魔改造している。ユミナと一緒に暮らす家の為に建てた訳じゃないし、ここが拠点として住むのだから一緒に住むのは当然だとは思わないのか?」

「そ、そうなの?」

「一真さんには何でもお見通しな訳ですね」

「やはり大御所は違いますし、聞いた話では側室もここに住むのであれば私達が住んでも変わりないでしょうから。ここは一真さんの言う通りにしましょうか」

玄関から入るとメイドが一斉整列して挨拶したからか、ユミナ以外の娘が固まっていて面白かった。電気・水道・ガスがあるが、使い方について一から学ばせておけとメイドらに通達済み。

各自分の部屋を決めてもらい、ここは入ってもいいがここは入ってはダメと言っといた。一応機密も含んだ家だから、管理側も既に雇っているから問題ないけど確か記憶共有者が何人かいたはず。 
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