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夢幻水滸伝

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第九十二話 太平洋の諸勢力その十

「しかしだ」
「あっちはあっちでな」
「考えがあある筈だ、しかも普段の政は圧政の色が強い様だが」
 それでもというのだ。
「よく治めている」
「そうみたいだな」
「民は餓えないどころか腹が満ちな」
「街も賑やかだっていうな」
「それならだ」
 まさにというのだ。
「やはりあの二人も星の者達としてだ」
「この世界を救おうとしてるな」
「我々と考えが違うにしてもな」
「そうみたいだな」
「そしてだ」
 日葵はさらに話した。
「この太平洋は特にだ」
「太平洋とその周りの国々は豊かです」
 太宰が日葵に答えた。
「世界の半分です、しかもサハラ砂漠以南のアフリカも入る様になりました」
「南大西洋とな」
「アフリカ東岸のインド洋の海域も」
「それならばな」
「この豊かな地域を出来るだけそのまま手に入れたい」
「そう思うのが心情だな」
「人として。特に治め世界を救う立場なら」
 それならばというのだ。
「やはりです」
「国土にも民にも難儀をさせない」
「そう考えますので」
 だからだというのだ。
「彼等もです」
「我々の話に応じるな」
「しかもこうした申し出は」
 太宰は淡々とだが確かな声で話した。
「先にです」
「言った者が有利に立てるな」
「そうです、政は時としてです」
 まさに今の様な状況ならばというのだ。
「最初に言った者がです」
「利益を得るな」
「それで、です」
「我々が最初に動くな」
「そうします、先んずれば人を制すです」
 太宰はこの言葉も出した。
「こうした場合は」
「ではな」
「空船を出しますか。それとも」
「そうだな、移動の術は一度行った場所にしか行けない」
 このことがこの術のネックになっている、一度も行ったことのない場所に対してこの術は使用できないのだ。
 それでだ、日葵も太宰の申し出に応えたのだ。
「ならな」
「空船の中でも速いものを用意します」
「ではな」
「すぐに出てもらいます」
 今度は四人全員に告げた、そうしてだった。
 四人はそれぞれの地域に使者として向かった、太宰は四人を送ってだった。
 綾乃にだ、こう述べた。
「シンガポール、北京、ワシントン、ブラジリアにです」
「四人共行ったんやね」
「はい、それぞれ」
 こう綾乃に話した。
「向かってくれました」
「ほな後はね」
「返事が来るだけですが」
「やっぱりどの勢力も来てくれるやろね」
「間違いなく」
 太宰は綾乃にも確かな顔で答えた。
「応じてくれてです」
「そうしてやね」
「奈良での会議です」
「そうなるね」
「そうしてです」
「戦の仕方が決まるんやね」
「そうなります、太平洋はそのままです」
 太宰は強い声で述べた。 
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