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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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男の幸せ①

 
前書き
リュカの結婚に纏わるエピソード…
本編ではあえてリュカSIDEで書かなかった物語。 

 
<サラボナ>

俺はビアンカと共にサラボナへ帰り着いた。
本来ならばリング入手を手伝ってくれたビアンカを、山奥の村へ送り届けるのが筋ではあるのだが…
別れたくない俺はビアンカの手を握り、ルドマンさんの元へ赴こうとしている。
花婿候補が別の女と手を取り返ってきたらどう思うかな?
怒るかな?
娘はやれん!とか言うかな?
そうなったら盾だけ貰ってビアンカと帰ろ!


<サラボナ-ルドマン邸>

「あ~…遅くなりました~、水のリングです」
「おぉ!リュカ!待っていたよ。どれ、水のリングも預かろうか」
俺は左手で左腰にある袋からリングをぎこちなく取り出す。
その間、ビアンカの手を握ったまま。

だが、このおっさんはリングしか見てない。
おい!!
見てみろ!
ラブラブだろ!
気にしろよ!

「あ、あの…リュカ!…そちらの…方は…」
ルドマンさんは気付かなかったが、フローラが気付いてくれた。
細部に気が付く良い()だ!

「あぁ、彼女は僕の「私はビアンカ!リュカとはただの幼馴染みよ!」
慌てて手を振り解き、力強く幼馴染みを主張する…
「じゃ、じゃぁ、私はこの辺で帰るわね!」
ビアンカは帰ろうと、踵を返すが…

「ちょっと待ちなさいよ!」
扉から、ものっそいケバい格好の女性が入ってきた。
俺は格好はともかく、そのでかい胸に視線が行く。
フレアさん以上だ!

「リュカ…って言ったけ?あんた凄いわね!本当にリングを2つ手に入れるなんて」
俺の視線に気付いた女性が、偉そうな態度で語りかける。
「はぁ~、どうも…あの…どちら様?」
メイド…じゃないよな?

「姉のデボラ姉さんです」
姉ぇぇぇ!?
これ絶対、血繋がってないだろ!
「そう言う事!だから、私と結婚しても盾は手に入るわ。そうよね、パパ」
あ゛!?どういうこと?
「あ、あぁ…まあ…そうだが…急に何を言「つまり、私と結婚しなさいって事!」
わぉ!俺モテモテ!

「いきなり何だ!リュカがお前と結婚する訳ないだろ!」
いやいや!そのオッパイは魅力ですよ!
「分かってないわねパパ。リュカは天空の盾を手に入れたいのよ。だったら、私の様な絶世の美女を選ぶでしょ!」
すげー自信だな、オイ!
だいたい、俺はビアンカが好きなんだ!
セフレにならしてやるけど…

「あの…ちょっ「今回の試練は私の婚約者を決める試練です!」
フローラに発言を阻まれました。
俺、挨拶以外碌に言葉を発してないんですけど…
「それが?」
「それに参加したリュカは私と結婚するつもりなんです!」
違う!
騙されて参加したんだ!
盾くれるって言うから…

「見なさい、リュカの連れている女を!」
ビアンカが?
「フローラ。貴女は可愛いわ。お淑やかだし清楚で可憐よ。でも、リュカの好みはスタイルの良い美女よ!」
イヤイヤ!スタイルだけでは選びませんよ!

「僕の話を聞「そう言う訳よリュカ!私と結婚するのなら、そんな田舎娘とは金輪際逢わないでもらうわよ!」
また、阻まれた!
「田舎娘って私の事!?」
「他にいないでしょ。さっさと帰りなさいよ!何時までも彼女面して居座らないで頂戴!」
「そうです!貴女がいなければ話がややこしくならなかったのに」
「な!?話をややこしくしたのは貴女のお姉さんでしょ!私は帰るつもりだったの!」
ビアンカが怒った!早く収拾を付けないと!

「ちょ、みんな僕の話し「静まらんか!」
思いの外でかい声ですね、ルドマンさん。
「みんなの気持ちはよく分かった!だが、リュカは一人しかいない。だからここは、リュカに決めてもらおうじゃないか」
やっと俺に発言の機会が巡ってきた。

「あの、僕は「つまり今夜一晩ゆっくり考えて、明日の朝に結論を出してもらう。リュカは宿屋に泊まりなさい。部屋を用意しておこう。ビアンカさんは我が家のゲストハウスに泊まるといい。遠慮はいらんよ」
阻まれた!
更に一晩待てってさ!
俺もう決めてるんだけどぉ!
どうして俺の話を聞かないの!?


<サラボナ>

食事を済ませ一息入れたところで、デボラに会いに行く。
もしかしたら、かなりの女で心移りするかもしれないから…ではなく、真意を聞き出したい。
だってあり得ないもの!
いきなり現れて『私と結婚しろ!』って!
相当な馬鹿じゃ無ければ裏があるね!
もし、本当に俺に惚れているのなら、一晩お試ししちゃってもいいしね!


<サラボナ-ルドマン邸>

広大なルドマン邸の三階部分の6割を占有しているデボラの私室。
どうやら我が儘いっぱいに育ったらしく、結婚したら手を焼きそうだ…
でも、あの胸は魅力的だ!

デボラは胸を強調させた色っぽいナイトドレスに身を包み、俺の来訪を歓迎してくれた。
これは罠なのかな?手ぇ出したらアウト?
我慢しないと不味いよね!?
「見た目良い女だなぁ…(ぼそ)」
「あ゛!?今、何つった!コラ!!」
ヤバい!口に出してた!

「見た目だけじゃ無いわよ!アンタ私の事を何も知らないでしょう!勝手な事を言うんじゃないわよ!!」
凄い勢いで怒鳴りまくるデボラ…
口を挟む事が出来ない…



「………ともかく!アンタはフローラの事を愛してないでしょ。そんな男と結婚したら私の可愛い妹が不幸になるのよ!だからアンタは私と結婚しなさい!命令よ!」
「あはははは…勝手だなぁ~…」
なぁ~んだ…結局妹の事を思っての事か…
確かに見た目だけじゃないな!

「な、何よ!」
「僕には僕の人生がある。だから僕は自分の意志で物事を決めるよ。命令は受けない」
「じゃぁ…一晩、じっくりと考える事ね!どの女を選ぶか…」
我が儘に育ったけど、馬鹿女では無い様だ。



俺はデボラの部屋を後にして、フローラへ会いに行く。
(コンコン)
2階の一角にあるフローラの部屋のドアをノックする。
「フローラ?入るよ?」

返事は無かったが鍵が開いていた為、ノックの勢いでドアが開いてしまった。
室内に入ると薄明かりの中ベットに横たわる人影が一つ…
近付き話しかける。
「あれぇ?寝てるのぉぉぉぉぉ!すげー格好だな!オッパイ丸見えじゃん!」

何この姉妹!
やり口があざといよ!!
頑張れ俺!
負けるな俺!!
常勝無敗の暴れん坊将軍を押さえ込むんだ!!

「話をしようと思ったけど…」
バレバレの狸寝入りですね。(クス)
(スッ)
俺はフローラに布団をかけ、下半身の暴れん坊将軍を理性で押さえ付け、寝た芝居をするフローラに対し、紳士的な芝居で対抗する。
「風邪引くよ…」
そして後ろ髪が引かれまくる中、フローラの部屋を後にする。
(バタン)



<サラボナ-ルドマン邸-ゲストハウス前>

もう、俺の頭にはビアンカの裸しか無い!
どうせ明日告るんだから、今すぐ告って前祝いしてもいいよね!
「リュカ!こんな遅くにどうしたの!?」
不意に上から声をかけられた。

見上げるとビアンカがテラスから身を乗り出し話しかけてくる。
「ビアン「何かごめんね!私がもっと早く帰っていればよかったのに」
俺の言葉を遮るビアンカ…口説かせない気か!?
今凄いんだゾ!
白い(物を発射する)巨塔が!

「ま、デボラさんも混乱の一翼ね!」
そう…あの女のあのオッパイ…
「あ、あぁ…」

「リュカはフローラさんと結婚して幸せになるべきよ」
「幸せ…に…」
俺の幸せはビアンカと共にある!
「天空の盾を手に入れて、パパスおじさまの遺志を継がないと…」
父さんもきっと、俺の幸せを優先してくれる…はず…
「父さんの…気持ち…」

「いい!もうリュカは不幸を背負い込む必要無いんだから…幸せに…ならなきゃ…」
まいったな…また、ビアンカを泣かせてしまった…
「幸せ…か…」

「そうよ!貴方のお姉さんとして…貴方が心配よ…」
………お姉さん!?ふざけやがって…そんな軽い気持ちじゃ無い事を明日分からせてやる!
「ビアンカは何時もお姉さんぶるね。」
俺は萎えてしまった暴れん坊将軍と共に、ビアンカの前から立ち去る事に決めた。
沸々とルドマンへの怒りが湧いてくる。
ビアンカを泣かせる原因を作り出した、あのおっさんへの怒りが…



<サラボナ-ルドマン邸>

あ~あ…結局昨晩は一発も出来なかったな…
今もメイドさんをナンパしたら怒られたし…
あ゛~!ルドマン、ムカつく!

(コンコン)
俺の事を叱ったメイドさんに案内され、みんなの居る応接室へ入室した。
「リュカ…良く眠れなかったかな?」
「え?バッチリ爆睡です!どうしました?」
あ゙?何だよ…一発も出来なかったし、寝るしかないじゃん!

「いや…表情が暗かったのでな…」
それはお前の所為だ!
自覚無いのか!?

「あぁ!いや…そこでメイドさんをナンパしたら怒られまして…『婚約者がいるのにふしだらです。』って…結婚したらナンパしちゃダメ?」
別にまだ独身なんだからいいじゃん!
「で!三人の内誰と結婚するか決めたのかね!?」
何か口調がきつい…

「あれ?イラついてる!?(クス)…冗談ですよ…」
何でお前がイラついてんの?
頭にきてんのは俺だよ!
「いい加減にしたまえ!昨晩の大騒ぎは君も知っているだろう!真面目にやりたまえ!」
お前が言うな!

「大騒ぎの原因を作ったのは貴方でしょう…僕にイラつかれても困ります」
もう今日は言いたい事を言わせてもらうかんね!!
「で、では、誰とけっこ「その前に!」
その前に言わせろ!

「その前に、僕はルドマンさん!貴方に言いたい事が…文句があります。それを言い終わらない内は、事態を進めるつもりはありません!」
「何かね」
すましてんじゃねぇ!

「まず最初に、この事態の原因になったフローラの結婚相手を決める試練の事です」
何で俺が巻き込まれなければならないんだ!
「貴方が築き上げた財産や資産を譲渡するのは貴方の自由だ。だが、フローラの人生を自由にしていい訳無いでしょう!」
金持ってるからって何でも自由になると思うのは間違いだ。

「今回…結果的に大事には至らなかったが、もし財産目当ての腕っ節馬鹿が合格していたらどうするつもりでした!?」
「だが…この物騒なご時世、フローラを守るには力がいる!だから「馬鹿ですか!あんたは!」
それじゃぁ婿捜しじゃなく、ボディガード探しじゃん!

「物騒な世の中からフローラを守るのなら、金を使って武装すればいいだろ!一人の物理的な力なんてたかが知れてる。盗賊が1000人で攻めてきたら何も出来やしない」
一人に期待しすぎなんだよ、馬鹿!

「むしろ、そんな腕っ節馬鹿はフローラを不幸にする!」
ルドマンさんの表情が驚きへと変化した。
コイツ結婚後の事を何も考えてねぇーな!

「多額の泡銭が入り、あっちこっちで金を散撒き女をつくる!フローラの事を顧みてない男は、その事を指摘されると腕っ節に物を言わせるでしょう!」
俺を含め、男なんて勝手な生き物なんだ!
自分を見ればよく分かるだろうが!

「もう一件、言いたい事が…これは、この場にいるみんなに言いたい!」
みんな自分の事ばっか…
「昨日、僕の話を誰も聞こうとはしなかった!何度自分の気持ちを言おうとして遮られた事か!挙げ句、一晩悩んで持ち越せって…」
言い終え我慢出来なくなり、俺はビアンカへキスをする!
俺の暴れん坊将軍は押し倒せと命令するが、さすがにそれは我慢した。

「ちょ、リュカ!何!?」
驚くビアンカ…
もう反論は許さない!
「ビアンカ!好きだ!愛してる!」

「な、何言ってるの!私なんかを選んだら天空の盾が「あんな物いらない!ビアンカがいい!」
「あんな物って…パパスおじさまの遺志は!」
「父さんを侮辱するのはやめてくれ!」
「ぶ、侮辱って…」
「父さんは偉大で優しい人だ!僕の幸せを思ってくれる人だ!」
父さんなら俺の幸せを一番に考えてくれる人だ…多分…きっと…

「それに天空の剣があれば、勇者を捜せる。勇者を見つけてから盾を貰いに来ればいいし…」
「リュカ…そんな…私…」
「後はビアンカの気持ち次第だ。もし僕の事が嫌いだったら…諦める…誰とも結婚しない…」
独身の方が気楽だよね。

「私 (ヒック)も…リュ (ヒック)リュカの事が (ヒック)大好き…」
うっ!やっぱりビアンカに泣かれると戸惑うな…
「リュカじゃなきゃヤダ!私…私…」
OKって事だよね!
俺は腕の中で泣きじゃくるビアンカを見つめながら思う、独身捨てるのちょっと惜しいなと…

「私を選ばないなんていい度胸ね!」
同じように泣きじゃくるフローラを抱き締め、デボラが嬉しそうに話しかける。
「(クスッ)…そうですね…妹思いの巨乳美女は捨てがたかったですね…(クスクス…)」
「フローラを馬鹿男共から守ってくれてありがと」
見た目とは裏腹に、優しい女性だな…
「ビアンカを救ってくれたからチャラです。」
ま、デボラにとってはビアンカは偶然救われたのだろうけど…



フローラとビアンカが一通り泣き止むのを待ってから切りだした。
「では、僕らはそろそろ行きます。」
これ以上ここに居たら、何に巻き込まれるか分かったもんじゃない!

「待て!私は結婚式の準備をしてしまっているのだ!これを無駄にする事は許さん!」
知るか、そんな事!
「ふう…つくづく勝手な人ですねぇ…貴方は…」
お前が勝手に準備しただけだろが!!

「何とでも言うがいい!私はリュカ…お前が気に入った!私の好意を受け取ってもらうぞ!」
「好意の押し売りです。それは…」
う~ん…結婚式って金かかるよね…
人の財布で挙げられるのは美味しいなぁ…
腕の中のビアンカを見る…泣き腫らした顔だが美人だ…

「そんな訳で2日後には式を執り行う」
ちょ、OKって言ってないし!
「2日!?はぇ~よ!準備は…」
「準備は殆ど出来ている!お前はほっておくと浮気をしそうだからな!サッサと結婚させておくしかないだろ!」
「そ、そんな事は…(ゴニョゴニョ)」
うっ!痛いところを…

「それとリュカにはやってもらいたい事がある」
やば!また、面倒事か?
「何ッスか?娘さん二人の今晩のお相手?」
「コロスぞ!…そうじゃない!お前のルーラで招待客へ招待状を渡し、連れてきてほしいのだ!」
何で主役の一人がパシらなければいけないの?
「えーめんどくせー」
「コラ!リュカ!貴方にしか出来ないんでしょ!」
ビアンカに怒られました…

「…は~い…その間ビアンカは?」
「ドレス合わせの為残ってもらう」
仕方ないか…ビアンカの為に盛大な式にしたいしね!



 
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