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おっちょこちょいのかよちゃん

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2 中断された日常

 
前書き
《前回》
 山田かよ子はおっちょこちょいを治そうと長山からおっちょこちょいの治し方を教わる。そしてその治し方を実践しようと決めるのだった!! 

 
 長山からおっちょこちょいの治し方を教えて貰ったかよ子は下校していた。
(長山君が教えてくれた事、いつも意識しないと・・・!)
 かよ子は実践すると決めた。・・・と、その時、地面が縦に揺れた。
(な、何・・・?地震・・・!?)
 かよ子は慌てて尻餅をついた。
(ど、どうしよう・・・!?そうだ、深呼吸、深呼吸!!)
 かよ子はゆっくりと深呼吸した。地震はすぐにおさまった。
(ふう、落ち着いた・・・)
 かよ子は立ち上がると地面についたスカートの部分を手で払い、先程の地震で不意に何か落とし物しなかったか確認して家に帰った。

 かよ子は帰宅した。
「只今」
「かよ子、お帰り。さっき地面が揺れたけど大丈夫だった?」
「うん、何とか。あれ、地震だったのかな?」
「そうね、そうだといいけど・・・」

 夜、父も帰って来て、夕食にしていた。その時、テレビのニュースで昼間の地震についてアナウンサーが報道を始めた。
『本日、午後3時55分頃、各地で大きな揺れが観測されました。地震とは思われますが、気象庁によりますと、震源地は特定できず、広範囲での揺れにしては、プレートのぶつかり合いが確認されていないとの事です』
(え?じゃあ、あれが地震じゃなきゃ、一体何なの!?)
 かよ子は真相が気になった。

 夜、かよ子はなかなか眠れなかった。
(地震じゃないなら、何だったんだろう・・・?)
 そのせいで寝付けなかった影響でかよ子は寝坊してしまった。
「ああ、遅刻、遅刻!!」
 かよ子は急いで朝食を食べて、登校した。
(昨日の変な事のせいだ!)
 かよ子は寝坊の原因を昨日の謎の現象に責任転嫁したかった。3年4組の教室に入ろうとして担任の戸川先生にあってしまった。
「おや、山田さん」
「あ、先生。おはようございます」
「山田さん、あともう少しで遅刻でしたね。気を付けて下さいね」
「はい・・・」
 かよ子は恥ずかしくなった。

 かよ子は地震もどきの現象ばかり気にしてこの日の授業に集中できなかった。算数の授業中・・・。
「山田さん。山田さん・・・?」
「あ、はい!?」
「山田さん、この計算問題を前に出て解いてください」
「はい!」
 かよ子は席を立った。ところがその時、机の上の筆記具を手で払うように落としてしまった。
(またおっちょこちょいしちゃったよ・・・)
 かよ子は昨日の事はあまり考えないようにした。かよ子はまる子やたまえ、土橋とし子に休み時間に昨日の事を話した。
「そうそう、私もその事で気になってたよ」
 とし子も昨日の謎の現象で頭がいっぱいのようだった。
「アタシなんか神様が怒ったのかと思ってさあにもう遅刻しません、忘れ物しませんってお祈りしてたよお~」
「まるちゃん・・・」
 たまえはまる子の行動にやや引いた。
「でも、私何か起こりそうな気がするんだけど、気のせいかな?」
「かよちゃん、大丈夫だって。気にしすぎだよお~。命なんかとられないって」
 まる子が安心させるつもりで言った。
「うん、そうだよね・・・」
 かよ子はその後はこれといったおっちょこちょいな事は特に何もしなかった。下校時、かよ子は大野と杉山が一緒に帰っている所を目撃した。
(す、杉山君・・・。昨日の事、杉山君と大野君はどう思ってるんだろう?聞いてみたいけど、なんか相手にされなさそう・・・)
 かよ子は聞くか、聞くまいか悩んだ。

 と、その時、大野と杉山が立っている所とかよ子が立っている間の位置で道路が爆発した。かよ子は顔を腕で抑え、すぐに前を見た。
「す、杉山君!大野君!」
 かよ子はつい先程まで前にいた二人の名を呼んだ。目の前の路面は爆発でアスファルトの破片が散らばっていた。かよ子は二人の安否を確認する為に走った。大野と杉山は爆発の拍子で少し吹き飛ばされたが、幸い、大きな怪我はなかった。
「や、山田あ!俺達は大丈夫だ!!」
 杉山が答えた。
(杉山君・・・。無事でよかった・・・!!)
「だが、一体何だったんだ?」
 大野は周りを見回した。別の道路も見ては他の道路のアスファルトも爆破であちらこちら粉々に飛び散っている部分があった。
「何か変だ。巻き込まれるかもしれないから急いで帰ろうぜ!」
 大野は二人に提案した。
「うん!」
「ああ!」
 かよ子と杉山は大野の提案に乗り、急いで帰った。
(やっぱり昨日の地震や今日の道路の爆発。偶然じゃない!!)
 かよ子は怪しげな気配を感じた。その時、遠くの方に一人の女性の人影が見えた。
(あの人は・・・?)
 かよ子はもしや彼女が犯人かと思った。だが、もしそうだとしたら立ち止まっているとやられてしまうかもしれない。かよ子は今は兎に角急いで家に帰った。

 女性は道路が荒れた清水の街を見ていた。
「29年前に戦争放棄してから(たる)んだ日本を叩き直せって言われてやってみたけどやりがいあるわね」
 女性の元に一人の男性が現れた。
「ああ、世界革命の対象にはうってつけだな。この国は」
「兄さん、でも私達を呼んだ人はどうしてこの場所を選んだのかしら?『トーキョー』とか『オーサカ』っていう所の方がもっと人がいて思い知らせやすいと思うのに」
「ああ、俺も聞いてみた。そうしたら、ここに『手強いもの』が潜んでいるという事だ」
「『手強いもの』・・・?」
「ああ、この世や俺達がいる世とはまた別の世界からの贈り物を持っている者だよ」

 かよ子は帰宅した。
「只今!はあ、はあ」
「お帰り、かよ子。どうしたの?」
「学校から帰ってる途中、道路が爆発してびっくりしたの!」
「ええ!?」
 その報告にかよ子の母は一瞬、信じられなくなった。
「そうだったの。大変だったわね」
「うん・・・」
 かよ子は手を洗い、自分の部屋に行った。
(何なんだろう・・・。私がおっちょこちょいを治そうとしたら神様が気にくわなかったのかな?)
 かよ子は昨日の地震や今日の道路の爆発が自分と関わりがありそうで恐怖心を持った。その時、母が部屋に入ってきた。
「かよ子」
「お母さん・・・」
「これ、昔お母さんが使ってたものなの。これ、あげるわ」
 かよ子の母が差し出したものは一つは本でもう一つは魔女が主人公の漫画に出てくるような魔法の杖のようなものだった。
「この本にこの杖の使い方が載ってるわ。困った時に使ってね」
「うん・・・!!」
 かよ子はその本を見た。普通の人ならば意味不明な字で何て書いてあるか分からなかったろう。しかし・・・。
(わ、私には読める・・・!!)
 かよ子にはその本の意味不明な文字が解読できたのだった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「異世界からの刺客」

 母親から貰った杖の使い方を理解したかよ子はその杖を携帯する事に決めていた。そして謎の強風が起きた時、かよ子は出来事の元凶と顔を合わせる・・・。 
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