戦国異伝供書
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第三十九話 信濃守護その四
「小笠原家は信濃の守護です」
「そのこともあるからな」
「あの家をどうにかせねば」
「我等は信濃を手に入れたことにはならぬ」
「名実共に」
「だからじゃ」
それでというのだ。
「何としてもな」
「倒しますな」
「うむ、この信濃から追う」
晴信は山本に答えた。
「そうしてな」
「そこからですな」
「今度は信濃の北に向かうが」
「村上家にも」
「兵を進める、そこでもじゃ」
「上田からもですね」
「攻める様にすればな」
そうすればというのだ。
「楽に攻められるな」
「はい、一方から攻めるよりもです」
山本もこう述べた。
「複数の方から攻めれば」
「だからじゃ」
「村上家のことも考えて」
「ここは上田の真田家を組み入れたい」
「それでは」
「しかしじゃ」
ここでこうも言った晴信だった。
「ことは慎重に、かつな」
「諦めずにですな」
「進めていく」
「上田のこともまた」
「上田が手に入れば大きい、だからこそな」
「慎重に、ですな」
「かつ諦めずにな」
ことを進めていくというのだ。
「幾ら源次郎がわしを高く買っていてもじゃ」
「真田家全体がどう見ているか」
「それがどうかだからのう」
「ここは、ですな」
「うむ、腰を据えてことを進めるぞ」
「兄上、それではです」
信繁も言ってきた。
「それがしもまた」
「そうじゃ、お主に行ってもらうやも知れぬ」
晴信の弟してだけでなく武田家の柱の一人である彼にもというのだ。
「お主は話にも長けておるからのう」
「だからですな」
「そうじゃ、源次郎が話すが若し源次郎で頷かぬならな」
それならというのだ。
「お主にもとじゃ」
「考えておられるのですな」
「うむ、果たしてどうなるか」
それはというのだった。
「わからぬからな」
「では」
「源次郎、お主に任せるが」
それでもとだ、晴信は幸村に言うのだった。
「ことは幾重にもじゃ」
「備えてこそですな」
「よいこととなるからな」
「だからですあん」
「そうじゃ、ここはじゃ」
「それがしに加えてですな」
「次郎にもと考えておるのじゃ」
こう幸村に告げるのだった。
「用心に用心を重ねて慎重にことを進めてじゃ」
「幾重にもですな」
「仕掛けるのが戦であり政であるな」
「その政ですな、この度も」
「そういうことじゃ、ではまずはお主に行ってもらう」
こう言ってだった、晴信は幸村を上田に行かせることにした、飯富はその話聞いてから甘利達と共に晴信に話した。
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