麗しのヴァンパイア
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百三十三話
第百三十三話 まずは酔いを
カーミラは雪路に酔い醒ましにいいものを飲ませた、それは一体何かというと。
「スポーツドリンクというものは飲まないけれど」
「そうなのですか」
「ええ、私はワインを飲むわ」
スポーツドリンクを飲む雪路に妖しく微笑んで話した。
「そちらをね」
「そうですか」
「ええ、ワインは血の色ね」
「血、赤いからですか」
「そう、白も好きだけれど」
白ワイン、それもというのだ。
「赤の方が好きね」
「そうですか」
「そう、毎日飲んでいるわ」
「毎日ですか」
「欧州では普通よ。特に私の身体はね」
真実を隠してだ、カーミラは雪路に微笑んだまま話した。
「特別だから」
「特別といいますと」
「お酒を幾ら飲んでも壊れないのよ」
「そうなのですか」
「酔いはするけれど」
それでもというのだ。
「酔い潰れないしね。ただ栄養になるだけよ」
「それは素晴らしいですね」
「色々と難点もあるけれどね。お日様の光は苦手だし」
それを浴びても死にはしない、普通の人間と同じ様に入浴や食事も楽しめる。だがそれでも人間の身体とは違うことが多いのだ。
「困ることもあるわ」
「それでもお酒は、ですね」
「幾ら飲んでも酔い潰れないわ」
このことは事実だというのだ。
「そして今日も飲んだわ。けれど貴女程ではないわね」
「その様ですね」
「今はそれを飲んでね」
スポーツドリンクをというのだ。
「お酒を醒ますのよ」
「まずはそれからですか」
「悪い酔いをしているから」
「だからですか」
「そうした酔いは醒まして」
そのうえでというのだ。
「またはじめましょう」
「それがいいですか」
「いい酔いと悪い酔いがあるでしょ」
「そうですね、そして今の私は悪い酔いなので」
「醒ますのよ」
「わかりました」
雪路はカーミラの言葉に頷いた、そしてだった。
まずはスポーツドリンクを飲んで酔いを醒ましていった、飲んでいくと少しずつだが確かに酔いは醒めていった。カーミラはその彼女を静かに見守っていた。
第百三十三話 完
2019・2・18
ページ上へ戻る