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ある晴れた日に

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236部分:オレンジは花の香りその十九


オレンジは花の香りその十九

「で、今日の試合どうなったんだよ」
「負けてるぜ」
 野茂に佐々が答える。携帯の結果を見てだ。
「広島にボロ負けだ」
「おっ、いいなそれ」
 その結果を聞いて喜んだのは野茂だけではなかった。
「そうか。これで巨人最下位だよな」
「自力優勝消えたか?そろそろ」
 坪本も坂上も満面の笑顔になってきていた。
「何かその話聞いたらもうそれだけでな」
「ああ。酒抜けてきたな」
 どうやら気のせいではないらしかった。
「さて。それじゃあ今日は」
「これで気分よく寝られるな」
 もう二日酔いはどこかに消えようとしていた。
「とりあえず軽く風呂だけ入るだけで」
「明日はこれでもう大丈夫」
「いえ、ちょっと待って」
 しかしここで千佳が皆に言ってきた。
「二日酔いはいいけれど」
「あれっ、まだ何かあった?」
「お酒はもう残らないのに」
「違うわよ。これから帰るわよね」
 真面目な顔で皆に話してきている。
「だったら。夜道女の子だけだったら」
「危ないってこと?」
「そうよ。それ」
 彼女が言うのはこのことだった。
「最近ただでさえ物騒だし」
「そうだね」
 加山が彼女の言葉に賛成してきた。
「そういう話。聞くからね」
「だから。何かあってからじゃ遅いし」
「そうしよう。やっぱり」
「おいおい、それでもよ」
 しかしここでまた野本が言ってきた。
「こんなの襲うかよ、誰が襲うんだよ」
「おい、そりゃどういう意味だよ」
 声を向けられた春華が速攻で抗議してきた。
「あたしみたいな美人捕まえて何言う気だよ」
「今のそのへべれけになってメイクも滅茶苦茶になってる顔で言うなよ」
「うっ・・・・・・」
「幾ら何でもそりゃねえよ」
 野本はさらに追い打ちをかけてきた。
「こんな連中よ。絶対にねえ」
「それって私達のことよね」
「聞き捨てならないわね」
 静華と凛も参戦してきた。
「本当に鉄拳お見舞いするわよ」
「毎日走ってトレーニングしてるから脚力には自信あるわよ」
「じゃあ余計に安心だろ?」
 野本は二人の怒りの言葉を逆手に取る形でまた言ってきた。
「それだけの強さがあればよ」
「女の子はか弱いものなんだけれど」
「あんたわかってるの?」
「うちのクラスの女って皆こんなんだよな」
「だよなあ」
 男組は野本と彼女達のやり取りを聞きながらひそひそと囁き合う。
「大丈夫じゃねえかな。マジで」
「化け物が出て来ても勝てそうだよな」
「とはいってもよ」
 しかしここで野本の言葉が変わってきた。
「放っておくわけにもいかねえしな」
「?何だよ急に」
 春華も彼の言葉が変わったのを感じ取って眉を顰めさせてきた。その眉のメイクも目のメイクも大酒のせいかかなり荒れている。確かに酷いものだ。
「どうしたいんだよ。それで」
「ボディーガードしてやるよ」
 彼は言うのだった。
「ちゃんとよ。それは安心しなよ」
「別にいらねえけれどよ」
 春華はそれは一旦拒んだ。
 
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