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八条学園騒動記

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第五百十話 マルタ騎士団その十

「終わらせるのはな」
「もっといるからね」
「井原西鶴さんはちゃんと終わらせたわね」
「しかもその結末がな」
 好色一代男のそれはというと。
「新天地に向かって終わりだからな」
「壮絶な結末ね」
「ハッピーエンドもハッピーエンドでな」 
 それでというのだ。
「壮絶だろ」
「それで新天地でもなのね」
「おそらく遊ぶな」
「同じことを繰り返すのね」
「ああ、俺はそれでな」
「そんな人になりたいのね」
「間違ってもチンケな奴にはなりたくない」 
 それこそというのだ。
「そう思う」
「大器になりたいのね」
「絶対にな、しかし思うことは」
「何?」
「いや、チンケな奴も嫌いだが」
 こうも言っ洪童だった。
「ゴミクズにもなりたくないな」
「よくネット小説とかに出て来る」
「俺がその世界の勇者だったらな」
 それこそと言うのだった。
「こんな国俺が滅ぼしてやるってなる国とか村とかあるだろ」
「あるわね」
「そこにいるゴミクズ共みたいにはな」
「なりたくないわね」
「よくネット小説じゃ勇者はそんな国助けるけれどな」
「あんたの場合は」
「逆に滅ぼす」
 洪童は一言で言い切った。
「全力でな」
「それだけそんな連中にはなりたくないのね」
「絶対にな」
「人間でいたいんだ」
 そこは絶対にというのだ。
「あそこまで堕ちるとな」
「人間じゃなくなるのね、けどね」
「けれど、何だ」
「あんたはもてようと必死になった時でもね」
 例えその時でもというのだ。
「屑じゃなかったわよ」
「そうなのか」
「ええ、馬鹿かも知れなかったけれど」 
 それでもというのだ。
「カムイもそうだったけれど」
「それでもか」
「人間であったわ」
「屑には堕ちていないか」
「あんたが言うこんな国全力で滅ぼすって国の連中にはね」
「なっていないか」
「そこは安心していいわよ」
 洪童に確かな声で言うのだった。
「そこはね」
「そうか、じゃあこれからもな」
「絶対にか」
「そんな人間にはならない様にな」
「努力していくのね」
「目指すは本当に好色一代男だ」
 この作品の主人公だというのだ。
「そうなる」
「高い理想を求めたわね」
「そして新天地に行ってな」
 その主人公の様にというのだ。
「さらに大きくなりたいな」
「遊びに遊ぶの」
「それだけ出来る人間にな」
「遊ぶにも器が必要ってことね」
「そのこともあの作品からわかったんだよ」
 そうなったというのだ。 
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