八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百二十五話 近付く中でその十三
「そうした人なのは確かだろ」
「それはね、破天荒過ぎてね」
「けれど幾ら遊んでもやることはやってな」
「守ることは守る」
「そうした人になりたいな」
「人の道はだね」
「外れないでいたいな」
こう言うのだった。
「本当にな」
「ううん、まあ親父はね」
僕は彼に親父のことを話した。
「かなり特殊な人だから」
「そうそうはか」
「真似出来ないよ、だからね」
「あまり参考にはならないか」
「悪人じゃないし人の道は踏み外していないにしても」
それでもとだ、僕はさらに話した。
「破天荒過ぎてね」
「憧れにしてもか」
「あまりね」
それこそとだ、話を続けた。
「そうすべきじゃないよ」
「そうなんだな」
「それはわかるよね」
「実を言えばな」
「そうだよね、まあライオンや虎みたいなものかな」
某はこうも言った。
「要するに」
「猛獣かよ」
「動物園のね」
「ああ、離れて見るものか」
「横山やすしさんかな」
「あの人凄かったらしいな」
「無頼派っていうかね」
もう芸能界でもいなくなったタイプだ、馬鹿なことをしてそれで破滅した人が多い世界であることは変わらないにしても。
「お酒に女の人で」
「生き方が無頼だよな」
「そんな人だからね」
「無頼にはなりにくいか」
「無頼であっても」
親父は言うならそうだと思う。
「外道にはならない、人の道は踏み外さない」
「それは凄く難しくてか」
「もう動物園のね」
「ライオンや虎ってか」
「そうしたものと思って見るのがいいのかもね」
「何か凄いな」
「親父の生き方を見ていたら」
それならだ。
「そうも思えるから」
「今そう言うんだな」
「そうだよ、結局ね」
こう彼に話してだった、僕は作業を続けた。文化祭は間近だった。
第二百二十五話 完
2019・2・22
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