八条学園騒動記
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第五百十話 マルタ騎士団その三
「基本な」
「好きか嫌いかっていうと」
「別に嫌いじゃなくてな」
「どっちかというと好き?」
「そうなるな、こんな韓国人もいるんだよ」
「そうなのね」
「日本を知らない韓国人はいないけれどな」
それでもというのだ。
「日本を特に意識しないな」
「そんな韓国人もいるのね」
「十人十色だろ」
「ええ、剣の握り方はそれぞれね」
「それマルタの言葉か」
「そう、騎士団の言葉よ」
この時代にある言葉だ。
「人それぞれってことよ」
「同じだな、だからな」
「その言葉通りに」
「韓国人もそれぞれだよ」
こうナンシーに言うのだった。
「本当にね」
「よく日本人に強烈なライバル意識持ってると思ってたけれど」
「そうした韓国人ばかりじゃないから」
「あんたみたいな韓国人もいるのね」
「そうなんだよ」
これがというのだ。
「それでそのことはね」
「覚えておいて欲しいんだ」
「是非ね」
こうも言った洪童だった。
「俺もそこは不本意だしね」
「勧告人は誰もが起源の主張をして」
「それで日本のことばかり言うとかね」
「そうじゃないってことね」
「確かにそうした人多いけれど」
それでもというのだ。
「俺みたいな韓国人もいる」
「そういうことね」
「そうだよ、まあ俺大学はこっちに行きたいし」
「八条大学ね」
「それまではここにいるけれど」
「卒業してあからは」
「韓国に戻るつもりなんだよ」
その祖国にというのだ。
「卒業したら」
「そうするのね」
「うん、それで韓国で就職して」
「生きていくのね」
「そのつうもりなんだよ」
「そうなのね」
「学校の先生になりたいな」
洪童はその就職先のことも話した。
「高校の」
「高校の、なのね」
「ああ、そう考えているよ」
「洪童が学校の先生ね」
そう本人から聞いてだった。
ナンシーは洪童をじっと見てだった、そのうえで彼に対してこんなことを言った。
「いいかもね」
「無理とか言うと思ってたよ」
「これがテンボやジャッキーだったら言ってたわ」
クラスの迷探偵コンビの彼等ならというのだ。
「そうね、けれどね」
「俺だったらか」
「そこまで思わないわ」
「成績のことでか」
「それもあるけれど」
それだけでなくというのだ。
「人間としての資質がね」
「学校の先生に向いてるか」
「人に教えるの上手で公平だしね」
「だからか」
「あと暴力も振るわないでしょ」
「俺は暴力は嫌いだ」
洪童はナンシーにはっきりとした口調で答えた。
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