人造生命の命
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第一章
人造生命の命
フェリペ=リサールとカイ=ホワイは今はリサールの神託でフィリピンのマニラに来ていた、フェリペはまずだった。
カイをいささか怪しい酒場に連れて行った、そこでだった。
鶏肉のアドボ、カレカレにバナナの葉で包んだプト、シバエビを入れた炒めものやハロハロといったものをサトウキビの酒であるバシと共に楽しんでいた。
そうしつつだ、こう言うのだった。
「この店は一見柄が悪いけれどな」
「一見ではないのでは」
カイは店の怪しいイメージ、柄の悪い者達が騒いでいて店の女達が露出の多い服を着ているのを見てリサールに応えた。
「これは」
「まあそれはな」
「否定しませんか」
「ここは賭場でもあるからな」
「売春はですか」
「それはしてないからな」
このことは断るのだった。
「だから一見だよ」
「そうしたお店でもですか」
「賭場であるだけでな」
「そうした酒場ではない」
「そこはわかってくれよ」
あくまで売春はしていないというのだ。
「それは裏通りにあるからな」
「あるにはありますか」
「ああ、けれどおいらもな」
リサールはバシをロックで飲みつつカイに話した。
「そうした店には入らないからな」
「あくまでギャンブラーですね」
「そうだよ」
「女性は興味がないと」
「男の店もあるけれどな」
つまり同性愛の店もあるというのだ。
「まあそういうことでな」
「このお店ではですね」
「こうして酒と食いものを楽しんでな」
「そしてですね」
「博打もだよ」
「楽しむのですね」
「ああ、そうしような」
こう言いつつ食いもする、そして実際にだった。
二人で飲んで食べた後でリサールはギャンブルをはじめた、だがカイは真面目な性格なのでギャンブルはせずに見ているだけだったが。
カイが闘鶏で順調に勝っているのを見て彼に尋ねた。
「何故勝ち続けられるのですか?」
「そのことだよな」
「やはりギャンブラーという職業やからですか」
「やっぱりそれがあるさ」
リサールもこのことは否定しなかった。
「おいらはやっぱりな」
「ギャンブラーですね」
「ああ、ただギャンブラーってのは溺れないんだよ」
「ギャンブルにですね」
「溺れて欲を出したらな」
若しそうなればというのだ。
「そこで負けなんだよ」
「勝てなくなりますか」
「冷静さも失うしな、絶対に熱くなるな」
遊んだ後で儲けた金を勘定しつつだ、リサールはカイに話した。
「そして欲も出すな、勝とうとも思うな」
「儲けるものではないですか」
「遊ぶものだよ、ギャンブルで儲けたいならな」
そう思うならというと。
「こうした場所を提供するか親になる」
「そうなることですね」
「そうじゃないと儲からないんだよ」
それがギャンブルの本質だというのだ。
「だからな、おいらだってな」
「政としてですね」
「政府公営の賭場とかの運営もやってるんだよ」
これには闘鶏や格闘技のトトカルチョ、そして競馬等様々なものが入っている。尚どれも赤字の者は立ち入り禁止としている。
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