戦わせない訳
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第二章
「貰いものですか」
「この腕輪をお守りと思ってと」
「その娘にですね」
「言われました、実は僕は冒険者になりましたが」
それでもというのだ。
「なりたてで」
「それでもですね」
「幼馴染みの娘がいて」
「その娘にですか」
「これを貰いました、冒険者として名を挙げて強くなって」
少年はカイに再び語った。
「そしてです」
「その娘とですか」
「一緒になります」
「絶対に」
「それで、ですね」
「鳳凰を倒しに行きたいですが」
「止めとけって言いたいがな」
それでもとだ、リサールはここでだった。
こっそりと賽子を腕の中で転がして出た目を見てだ、少年に言った。
「駄目だな」
「僕は絶対に鳳凰を倒します」
「レベル一でもですね」
カイはこのことを確認した。
「それでもですね」
「そうします、無謀でも」
「そうですか、では」
それならとだ、カイは応えた。
「私達も行きますので」
「同行してもいいですか」
「はい、ですが」
「ですが?」
「貴方は戦闘に参加されても」
それでもと言うのだった。
「一切攻撃に参加してはいけないです」
「それはどうしてですか?」
「山にいるモンスターが強いからです」
だからだというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「そうです」
カイは穏やかだが確かな声で告げた。
「ですから」
「それで、ですか」
「決してです」
また少年に言うのだった。
「戦闘に参加されても」
「攻撃はですか」
「しないで防御に徹して下さい」
「おいら達が戦うからな」
リサールも少年に話した。
「敵の攻撃が来るまでにな」
「モンスターは全て倒しますので」
「安心しなよ」
「貴方はいるだけで構いません」
つまり冒険に同行するだけでいいと言うのだった、こう話してだった。
二人は少年と共に冒険の旅に出た、ハノイを出て人がいなくなるとすぐにだった。
モンスターが出てきた、それも結構強力なモンスターが次々とだ。だがカイもリサールもそれぞれが手にしている神具と術を使ってだった。
モンスター達に遭遇すると相手が攻撃するよりも先に倒していった、それで少年ホー=ウエン=クムという彼も驚いた。
「あの、確か」
「はい、このモンスターもです」
ブログ、倒したそのモンスターを見下ろしつつだ。カイは堪えた。
「かなり強力です」
「そうですよね」
「ですが私達は」
「お強いからですか」
「強さには自信があります」
星の者達であることは隠して言う、右手に持っている神具火尖槍からはまだ紅蓮の炎が漂っている。
「魔術師ですがこうしてです」
「その槍で、ですか」
「この槍は特別でして」
神具であることも隠して言う。
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