レーヴァティン
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第九十九話 要塞攻略その二
「そしてや」
「攻め落とすんだな」
「そういうこっちゃ、ほな今から」
「仕掛けるか」
「朝までに要塞はうち等のもんや」
美奈代は明るく言った、そうしてだった。
久志達は散兵や諜報部隊の者達を要塞の中にいる市民や兵士達に化けさせて木々の伐採をする彼等の中に紛れ込ませた。
要塞の者達は木々を切ると素早くその場を後にして要塞の中に入った。それが終わって暫くしてだった。
久志は軍を率いて要塞に迫った、するとだった。
要塞側は防衛に徹しようとしたが。
「何だ、門が開いたぞ」
「門という門が開いていくぞ」
「箸も架けられていってるぞ」
「どうしたんだ?」
「誰がそんなことをさせているんだ」
「敵が攻めて来るんだぞ」
「早く止めさせろ」
要塞を守る将兵達は驚いて止めようとした、だが。
門も橋も武器を持った市民や兵達が護っていた、彼等は門に来たトリノの兵達と戦いつつ言うのだった。
「ここは通すか!」
「さっさと帰れ!」
「ここは俺達が占領した!」
「ローマがな!」
「何っ、ローマだと!?」
トリノの者達は彼等の言葉に思わず仰天した。
「何時の前にローマの兵達が入った!」
「まさかさっきの木を切りに出た時か!?」
「あの時に入ったのか!?」
「まさかと思うが」
「あの時か」
「その通りだよ」
淳二もいた、彼は持ち前の素早さで自分が護る門に来たトリノの兵達を次々に短剣で刺して戦いながら答えた。
「おいら達変装して君達に紛れ込んでいたんだ」
「くそっ、何時の間に」
「何時の間にそうしていたんだ」
「君達が気付かない間にね、どんな要塞も中に入れば」
そうなってしまえばというのだ。
「もうどうということはないしね」
「まずいぞ、このままでは」
「門を開けられたままだと」
「敵の兵が来るぞ」
「主力が」
「それが狙いだしね、じゃあ覚悟してね」
笑って言う淳二の後ろから久志達が率いるローマ軍の主力が来た。そうしてその彼等も要塞の中に入り。
要塞はひとたまりもなく陥落した、久志達は朝には要塞を全て占領して敵兵達を全員降伏させていた。
その彼等についてだ、久志は笑って言った。
「元々市民やお百姓さんだしな」
「だからですね」
「ああ、これからトリノに向かうけれどな」
「トリノとの戦が終われば」
「全員故郷に戻ってもらうさ」
そうさせるというのだ。
「そしてな」
「死んだ人達も復活させて」
「戻ってもらうな、何はともあれ要塞は攻め落とした」
久志は紅葉に笑顔で話した。
「これでトリノの守りはないな」
「そうなりましたね」
「それじゃあな」
「これからですね」
「今日は休んでな」
朝まで戦った、だからだというのだ。
「明日からな」
「トリノに向かいますね」
「ああ、けれどな」
「トリノの守りはないので」
「それでな」
そのうえでというのだ。
「降伏の使者も送るか」
「そうしてですね」
「降ればな」
それでというのだ。
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