八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百二十三話 この人に決まったその三
「いいわね」
「幕末にも関係されているし」
「確かにいいわね」
「あの方は」
「それじゃあ決まり?」
「そうよね」
まさにというのだ。
「ここは思い切って」
「明治帝でいって」
「アンパンやアイスクリームを出す」
「あと蒸しカステラや羊羹もね」
「これでいきましょう」
「是非ね」
女の子達が俄然乗り気になった、ただここで男子達がこう言いだした。
「ただ明治帝って甘いものお好きでもな」
「それが祟って糖尿病になられたんだよな」
「そうだよな」
「それ違うわよ」
女の子達の間からすぐに否定の言葉が来た。
「そのことは」
「そうなのか?」
「違うのか?」
「あの方糖尿病だったんだろ?」
「それで崩御されてるんだろ」
「それはそうだけれど」
糖尿病のことは事実でもというのだ。
「節制されてたのよ」
「凄い質素な方だったらしいな」
「それも有名だよな」
「軍服の裏が破れていて縫って切られてな」
「あと何かとな」
「凄い質素な方だったらしいな」
このことは僕達も知っている、冬の寒い時も暖房器具といえば火鉢一個だったというから物凄いことだ。
「東宮の設計を見て贅沢だって変更を命じられたりな」
「そんなこともされてるんだよな」
「それでか」
「お食事もか」
「おやつに一切れよ」
それだけだったというのだ。
「カステラや羊羹をね」
「おい、それはすげえな」
「たった一切れかよ」
「質素にも程があるだろ」
「仮にも国家元首なのにか」
「当時の日本がまだまだ小さくても」
まさに大きくなる最中だった、今の日本とは違うのだ。
「カステラとか羊羹とか一切れか」
「じゃあアンパンとかも一個か」
「それじゃあおやつに食ってもな」
「糖尿病にならないよな」
「普通はな」
「あの方お酒もお好きだったでしょ」
女の子の一人のこの指摘にだ、僕達ははっとなった。明治帝は甘いものがお好きなだけでなくお酒もお好きだったのだ。
「特に清酒がね」
「ああ、それか」
「日本酒か」
「お酒飲み過ぎてか」
「それでか」
「そうよ、酔って相撲を取ろうと言いだされたか」
それか女官の部屋に悪戯で忍び込もうとされてだ。
「侍従長さんに放り投げられたでしょ」
「きつい諫言だな」
「その話も有名だけれどな」
「そうした話もあったな」
「すげえお酒好きだったっていうしな」
清酒を飲まれてこんなに美味しいのかと感激されてのことだという。
「だからか」
「あの方の糖尿病はそっちか」
「お酒のせいか」
「お菓子じゃないんだな」
「そうよ、だからアンパンとか出しても」
それでもというのだ。
「突っ込まれないわよ」
「お酒のせいならそうだな」
「じゃあそのまま出していいな」
「明治帝のことを紹介してもな」
「それでいいな」
「そうでしょ、幕末でも維新でもね」
今回の文化祭のテーマのどちらでもだ。
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