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ぶるぶる

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第二章

「人生経験を積んだら」
「そこからわかりますか」
「うん、まだ高校生だとわからないことも多いよ」 
 人生はじまったばかりと言っていい、だからというのだ。
「そこはね」
「私もこれからですか」
「そうだよ、あとね」
「あと?」
「最近ここおかしな噂あるのは知ってるかな」
「あっ、妖怪ですよね」
 史織はすっかり暗くなっている福島区の街並を見つつ言った。
「最近出るんですよね」
「うん、怖い妖怪じゃないけれど」
「うちの学校そうしたお話一杯ありますけれど」
 史織は自分の学校の話もした。
「叔父さんも知ってますよね」
「うん、卒業生だからね」
「私の先輩でもあって」
「兄貴もね」
「それじゃあ言いますね」
「あの学校は幽霊とか妖怪のお話が多くてね」
「世界最大の心霊スポットとか言われてて」
「それでね」
「こうしたお話は」
 妖怪の話はというのだ。
「慣れてます」
「じゃあ話してもいいね」
「最近出るんですね」
「そうみたいだよ」
 姪にあらためて話した。
「最近ね」
「この福島区に」
「うん、それで」
 淳はさらに話した、視線は運転中なので正面のままだ。
「若し出会ってもね」
「驚かない様にですか」
「注意しておいてね」
「私妖怪は見たことないですけれど」
 世界で最も妖怪が出て来る学園に通っていてもだ。
「幽霊はあります」
「あるんだ」
「テニス部の部活で水産科と一緒に練習して」
「ああ、水産科に海軍士官の幽霊が出るね」
「その人見ましたけれど」
「そうだったんだ」
「部活中ちらりと水産科の校舎見たら」
 その時にというのだ。
「いました」
「あの帝国海軍士官の軍服を着た」
「黒い詰襟の二十代の人で」
 それでというのだ。
「身体が透けていたので」
「幽霊だってわかったんだね」
「その人は見ましたけれど」
「妖怪はだね」
「ないです」
「僕は一反木綿見たよ」
 妖怪のそれをというのだ。
「大学に夜遅くまで残ってキャンバスを歩いてたら夜空にね」
「いたんですね」
「ひらひらと飛んでいたよ」
「一反木綿ってそうした妖怪でしたね」
 この妖怪については史織も知っていて述べた。
「漫画でも出て来ますし」
「ゲゲゲのでね」
「ああして布に目鼻と手があってですね」
「お空を飛んでいて」
「それを見たんですか」
「ただ飛んでるだけで何もしてこなかったよ」 
 襲い掛かって来る様なことはなかったというのだ。
「特にね」
「大抵の妖怪や幽霊はそうらしいですね」
「あの学園は特にそんな話はないから」
 妖怪や幽霊に襲われた様な話はというのだ。 
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