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戦国異伝供書

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第三十四話 内外を治めその九

「わかったな」
「今すぐに」
「そうせよ」
「さすれば」
 幸村は父の言葉に頷いてそしてだった、すぐに旅支度を整えで上田を後にした。この時彼の周りには十人の者達がいた。
 猿飛佐助、霧隠才蔵、三好清海入道、三好伊佐入道、穴山小助、根津甚八、望月六郎、由利鎌ノ介、筧十蔵、海野六郎だ。合わせて十人の猛者達が幸村に従っていた、そのうえで彼に対して言うのだった。
「ではですな」
「これより甲斐に向かい」
「武田様にお会いして」
「そうしてですな」
「そうじゃ、是非共じゃ」
 幸村は十勇士達に確かな声で答えた。
「武田家の末席に加えてもらいな」
「そうしてですな」
「そのうえで戦い」
「武田様をお護りする」
「そうするのですな」
「そして血からもじゃ」
 幸村はこのことも話した。
「お護りするぞ」
「お話は伺っておりまする」
「武田様を余計な血からもですな」
「お護りする」
「そうされるのですな」
「そうじゃ、そう思うとわしの責は重い」
 幸村は強い声で述べた。
「実にな」
「左様ですな」
「では我等はです」
「その殿をお助します」
「そしてお護りします」
「例え何があろうとも」
「そうします」
「頼むぞ、そしてじゃ」
 幸村はさらに話した。
「甲斐まで行くまでじゃ」
「何でしょうか」
「何かおありですか」
「一体」
「うむ、我等は真田家の忍道を通っていくが」
 それでもというのだ。
「これだとすぐであるな」
「ですな、甲斐までです」
「しかも我等の足です」
「すぐにです」
「行ってじゃ」
 そしてというのだ。
「武田様にお会い出来るな」
「ですな、では早速です」
「忍道に入りましょう」
「これより」
「入ってじゃ」
 幸村はさらに言った。
「よいな」
「甲斐までですな」
「一気に進み」
「そして入り」
「そのうえで、ですな」
「そうじゃ、武田様にお会いする」
 晴信、彼にというのだ。
「よいな」
「ですな、そしてですな」
「飯も食いますな」
「そろそろ」
「そうじゃ、人間やはり飯を食わないとな」
 そうしなければとだ、幸村は十勇士達に話した。
「生きていられぬわ」
「我等もですな」
「どうしてもですな」
「食わずでは動けませぬ」
「どうしても」
「それでじゃ」
 だからこそと言うのだ。 
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