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香水と蝶

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第一章

                香水と蝶 
 ピプーン=ワフン=スーンとアブドゥル=ロシティーはこの時スーンの神託でタイのソンクラに来ていた。
 だが街に入ってだ、ロシティーは魔人のその顔を顰めさせてスーンに尋ねた。
「タイは蝶々こんなにおるんか」
「一杯おるけどこんな多かったかな」
 スーンは虎人の顔をどうかとさせてロシティーに答えた。
「僕この街に来たのははじめてやけどな」
「起きた世界でもか」
「そや、けどな」
「こんなに蝶々多くないか」
「それはな」
 こうロシティーに答えた。
「多分そやと思う」
「このソンクラでもか」
「ちょっとこれはな」
「多過ぎるか」
「それでな」
 スーンはロシティーと共に街を歩きながら話した、とかく様々な蝶々が増えていて中には毒のある種類もいて人々も困っている。
 しかも蝶々の幼虫である芋虫達もいて街の店に置かれている野菜や果物を漁っている、そちらのことも見逃せなかった。
 そしてスーンは今自分達の前にいる犬人の男を指差して言った。
「あんな人もな」
「おらんか」
「普通はな」
「オーーーーホッホッホッホ」
 見れば犬人の男は高笑いをしていた、魔導士というか何か得体の知れない女ものの服を着ていて煙草をバフバフとした感じでふかしている、そしてだった。
 スーンはその匂いを嗅いで顔を顰めさせた。
「きっつい匂いやな」
「こら香水か」
 ロシティーもその匂いに嫌な顔になった。
「どんな香水か知らんが」
「変な香水みたいやな」
「香水はええとしてな」
「もっと普通の匂いの香水にしろや」
「そう思うな」
 男から漂う香水の匂いに言うのだった。
「何ちゅう香水使ってるねん」
「恰好や煙草だけやなくてな」
「傍迷惑なやっちゃ」
 二人でこんな話をした、そしてあからさまに胡散臭い者なので二人共近寄らなかったがとかく今のソンクラはだった。
 蝶々と芋虫で溢れ返り大変な状況だった、それで冒険者と身分を偽ってそのうえで街のギルドの依頼を確認すると。
 この蝶々と芋虫の件があって二人は即座に依頼に志願した、そのうえで依頼を出した市役所に行くとだった。
 市長の鯰の魚人のアドン=チャワリットは二人の顔を見てすぐに言った。
「貴方達が」
「僕等のことわかるか」
「お二人共わかりますよ」
 市長はスーンの言葉に笑って返した。
「星の方々のお顔は全員覚えてますから」
「それでかいな」
「種族は違いますが」 
 それでもというのだ。
「お顔は覚えています」
「それでわかるか」
「それで、ですか」
「今回は冒険者ということでな」
「街の蝶々と芋虫の問題をですね」
「解決させてもらいたい」
「わかりました、宜しくお願いします」
 市長は二人の素性を知ったうえで二人を冒険者として受け入れた。そうして二人は早速事件の解決にあたったが。
 とかく蝶々と芋虫の数が多くそれですぐに解決するには困難なのは明らかだった。しかしスーンはロシティーと共に街を歩き回ってだった。
 そしてだ、食堂に入ってタイの辛いが美味い炒飯やソーセージ、野菜を炒めたものを食べつつ共に食べているロシティーに話した。
「匂いがきつないとこに蝶々や芋虫はおらん」
「そやな」
 ロシティーは炒飯を食べつつスーンの言葉に頷いた。
「あの変な犬人の男が付けてる香水の匂いがせんとな」
「それでや」
 スーンはソーセージを食べつつ言った、タイ料理はソーセージも辛い。しかも料理全体にコリアンダーがふんだんに使われていて独特の風味を醸し出している。 
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