八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百十七話 二つの応援その十二
「それじゃあ余計にだろ」
「あの娘前田慶次だろ」
「傾いていて強くてしかも気風がいい」
「それで不便者ならな」
「若しかして」
ふとだ、僕は円地さんについてもこうも思った。
「前世とかパラレルワールドで傾奇者だったかな」
「そうじゃないか?」
「実際に前田慶次が前世とかな」
「そうだったんじゃないか?」
「少なくとも真面目な武士じゃなかっただろ」
円地さんの前世はというのだ。
「江戸時代の文武両方学んでるばかりの武士とかな」
「新選組とかな」
「戦前の日本軍の人達じゃないだろ」
「どの人達も傾いてないからね」
僕もこのことはそうだと思った。
「生真面目でね」
「新選組だってそうだよな」
「派手な格好しないからな」
「ギザギザの浅葱色模様の服着てるだけで」
「別にな」
「芹沢鴨も実際は違ったらしいしな」
「あの人酒乱だったらしいけれど」
この短所は事実だったらしい、そして朝からひっかけていたこともだ。
「結構教養があって陽気で剽軽で肝っ玉も座っててね」
「結構人望あったんだよな」
「確かに怒ると乱暴な振る舞いもしたけれどな」
「器も大きくてな」
「人望もあったんだよな」
「そうみたいだよ」
生前は新選組五十二人、当時は浪士隊と言った組のそのうち三十七人が芹沢派だったと言われている。近藤勇の派は十五人でしかも永倉新八の様に下っている人もいた。
「これがね」
「結構無茶苦茶書かれてるけれどな」
「ドラマとかでもな」
「大砲撃ったり店の中で力士と揉めたり」
「とんでもない奴だけれどな」
「実際は大砲撃ってないから」
当時新選組にはそんなものはなかったからだ、撃てる筈がない。
「力士と揉めたのもね」
「あれ近藤勇も一緒だったんだよな」
「土方歳三も沖田総司も」
「一緒になって騒動になったらしいな」
「実は」
「そうみたいだし」
それにだ。
「勤皇の志も強くて」
「鉄扇にそれ書いてたんだよな」
「毎朝皇居の方伏し拝んだりしてな」
「その鉄扇で会津藩の連中が槍突き出しても扇いでみせて平気で間通ったりな」
「勤皇の心もあってな」
「肝っ玉もあったな」
「粗暴一辺倒でなかったのは間違いないね」
そのせいで会津藩が怒って近藤勇も立ち上がったというのが物語でよくある展開だけれどだ。
「どうもね」
「そうみたいだよな」
「結構面白い人だったんだな」
「実は」
「あの人は」
「粗暴なところがあっても」
酒乱の気も間違いなくあってだ。
「何だかんだで教養があって人望もあって剽軽でね」
「陽気でな」
「何か子供にも人気あったんだな」
「浪士隊が世話になった人のお葬式しって近藤勇に言ってな」
「そのお葬式で子供達の相手したんだよな」
「怖い奴が子供から好かれるか?」
このことからして疑問だ。
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