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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第67話:VAVA Mk-II

ドップラーはケインとの会話もそこそこにエックス達に振り返る。

「これからシグマと戦う君達に教えておかねばならんことがある。シグマの正体は、奴自身が悪性のウィルスプログラムであること。奴のボディを破壊したところで本体と言えるウィルスである奴は死なず、やがて更に強力な新たなボディを手にして復活するだろう」

「チッ、まるでゴキブリだな。何度倒してもまた出て来やがるところとかな」

「なら、どうすれば良いんでしょうか?」

「わしがシグマウィルスに完全に支配される前に作成したシグマウィルスの抗体ウィルスがわしの研究室にある。あれならウィルス状態のシグマにもダメージを与えられるはず」

「ドップラー博士、その抗体ウィルスのある研究室の場室を教えてくれませんか?」

シグマを倒せるかもしれない可能性を持つ抗体ウィルスはエックス達からすれば喉から手が出る程に欲しい代物だ。

「うむ、研究室の場所は………」

ドップラーがこれから城に潜入するエックスとルインに抗体ウィルスのある研究室の場所を教える。

「よし、行こうルイン」

「うん」

「待てエックス」

ルインと共に城に向かうエックスを止めたのはゼロであった。

ゼロはエックスにZセイバーを渡す。

「ゼロ?」

「シグマ以外にどんな強敵がいるか分からないからな、ルインに武器を返して近接戦闘に使える武器がないだろう?俺のZセイバーを持っていけ。今のお前なら使いこなせるはずだ」

ナイトメアポリスとの戦いでのダメージの影響で普段の力を出せないゼロは足手まといだ。

だから少しでもエックス達の勝率を上げるためにZセイバーをエックスに託すのだ。

「ありがとう、ありがたくセイバーを借りていくよゼロ。君はケイン博士とドップラー博士とその子を頼んだよ」

エックスはゼロのセイバーを受け取り、ルインと共にシグマの城に潜入した。

「ルイン、すまない。本当なら君にも休んでもらいたいんだけど」

「動力炉の破壊と抗体ウィルスの入手をしないといけないからね。仕方ないよ」

シグマのボディの破壊。

この城の動力炉を破壊して城の機能停止。

それから抗体ウィルスの入手をするには最低でも2人必要になる。

「それじゃあ、私は地下の研究室で抗体ウィルスを入手、そして動力炉を破壊するからエックスはシグマのボディを破壊してね」

「ああ、君も気を付けて」

エックスはシグマのボディのある場所を目指し、ルインは地下の研究室だ。

先程、外でドップラーが繰り出したメカニロイドの大軍が全兵力だったらしく、守りが非常に薄い。

「よし、これなら直ぐに地下室に…」

『ルイン…ルインよ』

「この声は…ライト博士?」

隠すように置かれている見覚えのあるカプセルにはライト博士のホログラムがあった。

『急いでいるところを呼び止めて申し訳ない。だが、この城にいる敵を相手にするのは今の状態ではとても危険じゃ!!少しでも君の力になれるように君の力を解放する。このカプセルに入れば、君の戦闘力を2倍にするオーバードライブが扱えるようになる。ただし、オーバードライブは使用時間が切れたり、ダメージを受けると解除されてしまうから気をつけるのじゃぞ。』

「は、はい。ありがとうございます」

ルインがライトに礼を言うと、ライトは優しい笑みを浮かべると口を開いた。

『君はエックスを救ってくれたんじゃ、これくらい当然じゃよ…どうかこれからもエックスと共に頑張って欲しい』

「勿論です!!」

ルインはカプセルに入って、新能力・オーバードライブを会得した。

ライト博士に頭を下げた後、再び地下を目指す。

そして地下にある部屋をいくつか探して1枚のプログラムチップを発見した。

「後は動力炉を…」

研究室を出た直後、ピアノの音が聞こえてきた。

「こんな所で…ピアノ?」

ピアノの音がする場所に向かい、扉を開くとそこには…。

「久しぶりに弾いてみたが、意外に弾けるものだな…どうだルイン?お前の復帰祝いを兼ねた再び冥土へと旅立つお前へ贈るレクイエムは?」

「嘘…!?VAVA!?」

立ち上がったピアノの演奏者は何と最初のシグマの反乱でエックスに破壊されたはずのVAVAであった。

「久しぶりだな、ルイン。まさかこの戦いでお前まで蘇るとはな…前の戦いで蘇ったゼロと言い、お前と言い…どうやら俺達は奇妙な縁でもあるようだな」

「生きていたんだねVAVA」

「シグマの部下共が俺の残骸を回収していたらしい。そしてドップラーの手によって蘇った…さて、再会の会話はこれくらいでいいだろう。楽しい命のやり取りの後に立っているのは、お前以上の“死”と言う地獄を掻い潜ってきた真の“鬼”のこの俺だ!!」

「………はああああ!!」

即座にチャージしたZXバスターを構えてVAVAに向けてチャージショットを放つ。

VAVAは背中のシールドを構えてチャージショットを防ぐと、部屋から飛び出し、ルインもXアーマーに換装してVAVAを追い掛けると互いに火力にものを言わせた射撃戦を繰り広げる。

「だああああっ!!」

ルインがXバスターを構えてショットを連射し、VAVAも対抗して右肩のキャノン砲から火炎を放つ。

「ククク…ドップラーの繰り出した雑魚との戦いで完全に慣らしを終わらせたようだな、中々良い攻撃だ。しかしそのアーマーは新しい物のようだが、とうとうエックスの真似事か?」

「地獄から蘇った君と戦うのに相応しい力だと思うけどね!!」

「ククク…確かにな。エックスを倒す前にその姿のお前を倒すのも一興かもな!!」

左肩のミサイルポッドからミサイルを放つVAVA。

ダッシュでかわそうとするルインだが、ミサイルはルインを追尾する。

「えっ!?」

「俺が今更ただのミサイルなど使うわけがないだろう。インフィニティーギグ同様、当然ミサイルもホーミングなんだよ!!」

「ダブルチャージショット!!」

すぐさまルインはダブルチャージショットでミサイルを迎撃する。

「ダブルチャージか!!」

ダブルチャージショットを見たVAVAは電子頭脳にインプットされている情報を検索した。

ダブルチャージはかつてのカウンターハンター事件の際にエックスが使用していたセカンドアーマーの能力だったはずだ。

ダブルチャージは単発の威力は最初の強化アーマーであるファーストアーマーのスパイラルクラッシュバスターにも劣るが、二発もチャージショットを放てるために使い勝手は大きく上回る。

セカンドアーマーのダブルチャージは反動故に地面では接地、他にも動きを阻害してしまう欠点があったが、Xアーマーにはそれがない。

「ふん、そうでなくては面白くない。」

「喰らえ!!メガトンクラッシュ!!」

「一度見た技がまた通用すると思っているのか!!」

FXアーマーに換装したルインはチャージを終えたナックルバスターで殴り掛かる。

メガトンクラッシュの破壊力を知るVAVAは真っ向から受け止めるようなことはせず、シールドで受け流し、そしてルインの背後を取るとすかさずキャノン砲から火炎を放つ。

「きゃあ!?」

「お前の力はこの程度かルイン!!」

「くっ!!プラズマビット!!」

炎に耐えながらHXアーマーに換装し、ダブルセイバーをチャージして電撃弾を数発放つ。

「温い!温すぎるぞ!!」

電撃弾を両手で受け止めるVAVA。

しかしルインの本命は電撃弾ではなくセイバーによる直接攻撃。

「やああああ!!」

セイバーを振るい、VAVAを斬り裂こうとするが、VAVAは信じられない反応速度でかわす。

「なっ!?」

「改修された俺は数多の兵装を失ったが、それを補って余りある力を手にした。以前のボディを超えるパワーと防御力。特にスピードをな!!」

裏拳をルインの横っ面に叩き込むVAVA。

「あぐっ!!」

「あらゆる攻撃と動きに反応出来る反射速度とそれに追従出来る機動力…あらゆる面で強化されたスピードこそが俺の最大の武器なんだ!!いやっ、違うな。」

「っ!?」

再びキャノン砲から火炎を放ち、ルインに直撃させると一気に距離を詰めて顔面を鷲掴みにする。

そしてルインを城の壁にぶつけながら引き摺っていく。

「俺の…本当の武器はぁ!!俺の中に巣食う“鬼”そのものよ!!」

そして前にある塔の壁を破壊し、ルインを部屋の壁に投げ飛ばし、そして塔から離脱すると火炎を最大出力で放って塔を燃やす。

「所詮は生温い場所から戻ってきた奴、地獄を掻い潜ってきた“鬼”には敵わん!!………むっ!?」

VAVAが燃え盛る塔を見つめていたが、突如大規模の地響きと共に巨大な火柱が塔から立ち上ぼり、塔は一瞬で灰と化した。

VAVAは煙がまだ晴れていない中、塔があった場所に移動する。

「何が起こった?凄まじい高熱…FXアーマーのグラウンドブレイクか?それにしては威力があまりにも違い過ぎる……っ!?」

悪寒を感じたVAVAが咄嗟に屈むが、右肩にメガトンクラッシュを叩き込まれる。

あまりの威力に右肩が吹き飛ばされそうになり、VAVAは衝撃に逆らわずに吹き飛ばされることで何とか右肩を失わずに済んだ。

「チッ、右肩の武装がイカれたか…」

「どう?さっきのお返しだよ」

脱臼のような状態の右肩を強引に元に戻すと、ルインを睨みながら笑う。

「ククク…さっきの発言は撤回する。やはりお前との戦闘は楽しいな、お前は普通では考えられないような戦い方をするため、他の奴との戦闘では味わえないスリルがある!!」

「それはどうも!!……さて、そろそろ新能力に体が馴染んで来たし…私も全力で行くよVAVA!!オーバードライブ!!」

FXアーマーを維持した状態でルインは新能力のオーバードライブを発動し、戦闘力が上昇する。

「力が倍にまで膨れ上がった…!?……ククククク…そうでなくては面白くない!!さあ、俺を楽しませてみろルイン!!」

再び火力の応酬が始まる。

オーバードライブで強化された力は凄まじく、ナックルバスターの通常ショットの一発一発がメガトンクラッシュの火炎弾に匹敵する威力でVAVAに着実にダメージを与えていく。

「これで終わりだよVAVA!!」

「ク…クク…まだだ…この一撃で砕いてやる!!」

武装を全て失ったVAVAはルインに殴り掛かる。

ルインはXアーマーに換装し、予めチャージしていたバスターをVAVAに向けた。

「ダブルチャージショット!!」

バスターから放たれた二発のチャージショットはVAVAを飲み込み、破壊した。

ルインはVAVAの残骸を見遣ると、動力室に向かうのであった。 
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