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八条学園騒動記

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第五百五話 水族館と動物園その八

「今俺達がペンギンと呼ばれているそれはな」
「何て呼ばれていたの?」
「南極ペンギンと呼ばれていた」
「そうだったの」
「むしろオオウミガラスがペンギンだった」
「成程ね」
「しかし地球でオオウミガラスがいなくなった」
 乱獲により絶滅してしまったのだ、十九世紀のことだ。
「その結果だ」
「あのペンギンが普通にペンギンって呼ばれる様になったのね」
「エウロパの連中がそうした」
「本当にあの連中生きもの絶滅させるの好きね」
 ナンは連合でよく言われていることを述べた。
「つくづく碌でもない連中ね」
「そうだな、貴族らしいな」
「そうよね、本当にね」
「それで地球にいなくなってだ」
 オオウミガラスがというのだ。
「南極ペンギンがペンギンになった」
「正式なペンギンになったの」
「そうなる」
「ミナミオオウミガラスにならなかったのね」
「そうはならなかったが」
 それでもというのだ。
「ペンギンが正式なペンギンになった」
「全然よくない正式襲名ね」
「絶滅の結果だからな」
「そうよね、けれど」
「そうだ、今はだ」
「オオウミガラスも地球以外の星にいて」
「動物園にも水族館にもいる」
 そうなっているというのだ。
「有り難いことにな」
「そのことはそうね」
「有り難いな」
「全く以てね、まあ私子供の頃ずっと見たことなかったけれど」
「オオウミガラスもペンギンもだな」
「動物園や水族館は街にあるでしょ」
 こうダンに話した。
「草原にはないでしょ」
「あったら凄いな」
「ちなみに草原にあるのはね」
「草だけだな」
「見渡す限りのそれがあるだけで」
 それでというのだ。
「他にはね」
「何もないな」
「ええ、ないわ」
 まさにというのだ。
「時々ゲルとそこに住んでる人達とね」
「馬と羊と犬か」
「家畜を見る位でね、後ね」
 ナンはさらに話した。
「狼がいるわ」
「ソウゲンオオカミだな」
「モンゴルの象徴のね、鹿もいてね」
「蒼き狼と白き牝鹿か」
「その二つはいるけれど」
「他にはか」
「ないわよ、もう三百六十度地平線で」
 そうなっていてというのだ。
「動物園も水族館もね」
「ないな」
「あったら逆にびっくりするでしょ」
「何でこんなところにあるんだとな」
「だから私もね」
 草原に暮らしていてというのだ。
「ずっとね」
「行ったことがなかったか」
「そうだったの。こう言うとあれだけれど」
 こう前置きしてだ、ナンは話した。
「結構野生児だったわ」
「遊牧は野生か」
「だって自然の中に暮らしているのよ」
 草原、その中にというのだ。 
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