オズのファイター大尉
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第三幕その三
「あることも知らなかったわ」
「そういえば」
ジョージがまた言いました。
「ドロシーさんはカンサスでは周りにお家もなかったんですね」
「カンサスの大平原の中に一軒家だけあって」
カルロスも言います。
「村ですらなくて」
「それで人も本当に滅多に来ない場所で」
ナターシャもドロシーがかつていた場所のことを思い出しました。
「そうした場所にずっといたから」
「オズの国に来るまで」
恵梨香も言いました。
「色々な場所に来ることもなかったですね」
「そうした場所にいると」
最後に神宝が言います。
「中華街も他の場所も知ることが出来ないですね」
「だからオズの国に来て」
ドロシーはそのカンサスにいた時のことから五人にお話しました、そうしつつそのうえでこんなことを言いました。
「色々なものを観られて食べられて着られて」
「変わったんですね」
「色々なものを知ることが出来て」
「それで、ですね」
「今のドロシーさんになったんですね」
「そしてオズの国一の冒険家にもなったんですね」
「そうなの、中国系の人もアフリカ系の人もね」
白人以外の人達もというのです。
「見たことも会ったこともなかったのよ」
「そうだったんですね」
「そしてオズの国で、ですか」
「そうした人達にもお会いして」
「お話もして」
「そうした人達も知ることが出来たんですか」
「そうなのよ、というかオズの国にいると」
ここで今も一緒にいる大尉達を見て五人にお話しました。
「お肌や目や髪の毛の色は何でもないでしょか」
「身体自体が違う人は普通ですからね」
「かかしさんも樵さんもそうですし」
「色々な身体の人達がいて」
「本当そうですね」
「オズの国にいると人種の違いもですね」
「どうでもよくなるのよ、そのこともわかったわ」
オズの国においてです。
「どうでもないことだって」
「よくそれが言われますけれど」
「外の世界じゃそうですけれど」
「実はですね」
「もうそれは全くどうでもいい」
「そうしたこともですね」
「オズの国でわかったわ、若しもよ」
ここでこうもです、ドロシーは五人に言いました。
「オズマが昔のラゲド―王や妖魔みたいな性格だとどうかしら」
「ああ、そうですね」
「そうした人だったら」
「もう大変ですよね」
「オズマ姫がどれだけ奇麗な人でも」
「ああした性格なら」
「そうでしょ、やっぱり性格なのよ」
人間に大事なものはというのです。
「かかしさんや樵さんだってそうでしょ」
「はい、お心がしっかりしているから」
「皆お二人が大好きですし」
「そうでしょ。身体が違っても」
それでもというのです。
「問題は心なのよ」
「それじゃあ心が駄目だったら」
「もうそれこそ」
「ラゲドー王みたいだったら」
「本当に大変ですよね」
「妖魔達みたいだったりしても」
「そのこともわかったし。だからオズの国に色々な人達がいても」
お肌や髪の毛、目の色どころか色々な身体の人達がいてもというのです。
「いいのよ」
「だから僕達もいられて」
「楽しく過ごせるんですね」
「オズの国にいたら」
「それだけで」
「皆と仲良くも出来るんですね」
「そうなのよ、けれど皆似合うわね」
ドロシ―は今度は五人の中国の服を着た姿を見て言いました。
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