夢幻水滸伝

「その目は澄んでいてまっすぐな光を放ってるからな」
「この目で、ですか」
「わかるさ、悪党の目ってのは違うからな」
「よく濁ってるといいやすね」
「ああ、屑の目は屑でい」
　それを目で他の者に教えるろいうのだ。
「しかしおめえさんの目はまっすぐだ、違うさ」
「そうですか」
「だから義賊から一国の主になったんだよ」
「左様でやんすか」
「それで政もしてただろ」
「へい、不慣れですか」
「それでもやることはやったよな」
　幸田は有島にこのことを確認した。
「そうだよな」
「そのつもりです」
「そうだな、それじゃあな」
「いいですか」
「そうさ、まあ上野も手に入ったしな」
「あの国と民もですね」
「治めるぜ、越後も一つの勢力になったんだよな」
　幸田はこのことも知っていた、既に越後や甲斐、駿河も一つの勢力になって地盤が固まっているのだ。
「しかも星の奴が治めてるな」
「壷井鈴子って娘が」
「山伏のな、じゃあ余計にな」
「越後に対しての備えをですね」
「しねえといけねえしな、あと隙があればな」
　その越後にとだ、幸田は述べた。
「攻めていくぜ」
「そうしていきますか」
「おいらは日本統一そして世界の統一を考えてるからな」
　だからこそというのだ。
「それだけにな」
「他の国に隙があれば」
「どんどん攻めていくぜ、けれど第一はな」
　幸田はその目を鋭くさせて述べた。
「何といっても東国の統一だろうな」
「東北をですか」
「攻めていくぜ、関東一円は統一したんだ」
　それならばというのだ。
「後はな」
「東北ですね」
「あと蝦夷な」
　この地もというのだ。
「攻めていくぜ」
「東国の完全掌握ですか」
「そうなればかなりの勢力だろ」
「日本において」
「だからそうしていくぜ。それでおめえさんにもな」
「星の者として」
「働いてもらうぜ」
　こう言うのだった、そしてだった。
　有島は幸田の下で積極的に働くことになった、その次は。
　武者小路とも話した、彼はというと。
「水戸でか」
「遊び人でいましてね」
　武者小路は狼の顔、ワーウルフ族のそれから独特のおねえ言葉で答えた。着ている服もかなり派手な側の着物だ。
「それで酒に喧嘩に博打に」
「水戸でだな」
「楽しくやってたんですが」
「それが何で水戸一国の主になったんでい」
「それですが」
　武者小路はさらに話した。
「水戸で怒った喧嘩を仲裁してるうちに」
「自分も喧嘩しながらか」
「そうしているうちに水戸の顔役になって」
「水戸を治める様になってか」
「そこからはです」
　水戸の主になってからはというのだ。
「そこを拠点にして」
「常陸一国を治める様になったんだな」
「そうなりました」
　幸田に確かな顔で話した。
「まさに」
「成程な、色々あったみたいだな」
「とにかく遊び人として暮らそうと思っていたら」
　こちらの世界ではだ、武者小路はそのつもりだったのだ。
「折角遊び人っていう職業だったので」
「学校ではそうでもないだろ」
「起きた時はこうした口調でも」
　所謂おねえ言葉でもというのだ。