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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百十五話 仮装競争で聞いたことその一

               第二百十五話  仮装競争で聞いたこと
 八条学園高等部の運動会は実に色々な競技がある、それで一人が複数の競技に出る様な状況になっている。
 その数多い競技の一つ仮装競争についてだ、こんな噂が朝の部活で出ていた。
「着物って」
「ああ、袴とか花魁さんとかな」
「そうした服着て競争するらしいぜ」
「衣装部が今年も色々な服を出してくれてな」
「今回は着物が多いみたいだな」
「花魁さんの服なんて」
 僕はあのとんでもなく重そうな鬘と着物、そして高下駄を思い出して言った。
「走れないよな」
「それ当てた時点でアウトだよな」
「あんな服で走れるかよ」
「あの下駄で走れる筈ないだろ」
「というか走れたら凄いぞ」
「歩くのだけでも難しいぞ」
「そうだね、あんな下駄でね」
 誰がどう考えてもで僕もだった。
「どうやって走れっていうのか」
「花魁さんって頭も凄いしな」
「ゴテゴテした鬘でな」
「櫛とか簪もかなり刺すしな」
「あれは重いぜ」
「服だってね」
 僕は今度はこちらの話をした。
「重いよ」
「二十キロ位あるんだろ?花魁さんの着物」
「帯だって相当だしな」
「その帯も前に締めるから邪魔になるしな」
 花魁さんは洗い仕事をしないので帯は前に締めるのだ、このことは歌舞伎や浄瑠璃でもはっきりと出ている。
「あれ着て走れって」
「こけるっての」
「というか動くだけでも難しそうだな」
「体力ない奴だと動けそうにないな」
「ちょっと無理だな」
「そうだね、あれはね」
 本当にとだ、僕はまた言った。
「フランス貴族のドレスよりも動きにくいね」
「あれだよな、マリー=アントワネット」
「ドレスも動きにくいけれどな」
「髪型凄いよな」
「高く結い上げて」
 それも一メートル位だ、ここまで来ると冗談みたいだ。
「その天辺に家とかお池のディラマ置いてな」
「あれも滅茶苦茶動きにくいよな」
「けれど花魁になるとな」
「もっと動きにくいよな」
「うん、ベルサイユの薔薇の頃の服も大概だけれど」
 しかも靴はハイヒールだ、元々は汚れた場所を歩く時に出来る限り汚物を踏まない様にああした形になったらしい。
「花魁さんは多分ね」
「着物がドレスより凄いからな」
「重さもあって」
「髪型はベルサイユの薔薇の方にしても」
「花魁さんもかなりだしな」
「しかも高下駄がハイヒール以上みたいだしな」
「だからね」
 まさにそれが為にだ。
「花魁さんになったら」
「どんな奴でも最下位だな」
「着るだけでも相当な時間かかりそうだしな」
「そこはもう運だよな」
「花魁さんになったら」
「そうだね、というかよくあんな服出来たよ」
 ベルサイユの薔薇の頃のフランスの貴婦人のファッションもかなりだけれどだ。
「十二単も凄いけれどね」
「ああ、あれも凄いよな」
「十二単もな」
「あれも動けないよな」
「走られないな」
「あれ実際に十二枚着るからね」
 文字通りにだ。 
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