夢幻水滸伝
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第八十四話 江戸城入りその十一
「容赦しないでな」
「徹底的に戦いですね」
「降すんだよ、さもないと勝てないしな」
「戦力は我々はどの勢力よりも圧倒していますが」
下総のどの豪族達よりもとだ、遠藤はあえてこのことを話した。
「それでもですね」
「そうだよ、獅子は鼠を倒すにもって言うだろ」
「全力で倒す」
「だからな」
「どの豪族達もですか」
「相手を優に超える戦力を出してな」
そのうえでというのだ。
「一つ一つ降すぜ、だがな」
「命まではですね」
「ああ、この世界復活出来るしな」
術でそれが可能だからだとだ、幸田は遠藤にこのことも話した。
「それでだよ」
「そこまではしないですか」
「ああ、復活させてな」
「あらためてですね」
「降すからな、ただ徹底的に叩いてな」
そのうえでというのだ。
「力関係ってやつはな」
「わからせますか」
「何か服従させるみたいで好きじゃないんだがな」
「棟梁としましては」
「ああ、あまりご主人様とかそういうのはな」
主従関係、幸田は基本的にそうしたものは好きではないのだ。だからこう言ったが今の自分の置かれている状況とこの世界のことはわかっていた。
それでだ、こうも言ったのだ。
「好きじゃないんだよ」
「そうですか、ですが」
「この世界はそうした世界だからな」
「豪族や国人が従わなければ」
「その時はです」
「従わせるしかないからな」
まことにというのだ。
「やるよ」
「わかりました、それでは」
「ああ、降していくぜ」
不本意だがそれでもと話してだ、そのうえでだった。
幸田はそうした豪族達に彼等を遥かに凌駕する数の兵を自分や遠藤が率いてそのうえで降すこともした、そうしつつ進んでいた。
下総は瞬く間に、この国に入って二十日程で七割程を勢力圏に収めた。そしてそこで日毬からの使者の言葉を聞いた。
「ああ、安房をか」
「はい、完全に領有し」
「そしてだな」
「上総に攻め上がってです」
そうしてというのだ。
「順調に領有しています」
「そうか、じゃあおいらもな」
幸田は使者の言葉を聞いて笑みを浮かべて言った、丁度城に入ってその本丸で話を聞いているところだ。
「このまま下総を手に入れていってな」
「そしてですね」
「ああ、上総に入るな」
「ではそのことを」
「松尾様にですね」
「届けてくれよ」
自分の今の言葉をというのだ。
「いいな」
「はい、わかりました」
こう言ってだ、そしてだった。
使者は転移の術で日毬の方に戻った、その使者を見送ってからだった。
幸田はあらためてだ、自分と共にいる遠藤に言った。
「じゃあ引き続きな」
「下総をですね」
「手に入れていってな」
「そしてですね」
「ああ、後はな」
「上総に攻め入りますね」
「そうするな、幸い常陸は動いてないしな」
彼等が今いる下総と隣接しているこの国の話もした。
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