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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百十二話 いよいよ開始その十四

「コーランって大抵ハッピーエンドだからね」
「ああ、何か苦難を乗り越えて」
「アッラーの加護と自分の力でね」
「それで手に入れるものを手に入れて」
「後は幸せに暮らしましたってね」
「そうしたお話ばかりっていうわね」
「それがコーランなんだ」
 ダビデもソロモンも名前が違うのはともかくストーリーもキャラクターも全く違っている、アッラー自身滅多に怒らない恐ろしく寛容な神様だ。
「聖書ってすぐに神罰があるけれど」
「ちょっとしたことでね」
「そうそう、無茶苦茶酷い神罰を受けてるけれど」
 ヘブライの人達はそれでいつも苦労しているのが聖書だ。
「それがコーランだとね」
「アッラーは滅多に怒らなくて」
「苦難は乗り越えるもので」
「ハッピーエンドが待ってるのね」
「何か皆苦難があっても燃え上がるんだ」
 いざ向かわんという感じでだ。
「それで実際に乗り超えるから」
「モーゼもよね」
「うん、ムーサーって名前で出てて」
 名前は完全にイスラムだ。
「お兄さんのアロンと一緒にね」
「苦難を乗り越えるのね」
「兄弟で預言者でね」
「アロンも悲しい結末じゃないの」
「そうみたいだよ、預言者になる位だし」
 ちなみにコーランではハールーンという名前になっている。
「それでね」
「悪いことにはならないのね」
「結末もね、あとモーゼ人を助けようとしてある人を殴り殺してるし」 
 こう書くと水滸伝みたいだといつも思う。
「結構力持ちみたいだしね」
「何か聖書のイメージと違うわね」
「同じ登場人物でも全然違うから」
 性格も行動も結末もだ、コーランは実に明るい。
「そこも違うよ」
「コーランのお話はダオも聞いてるけれど」
「面白いよね」
「ハッピーエンドは多いし神様は寛容だし」
 本当に旧約聖書の神様と同じなんだろうかという位に性格が全然違う、ゼウスとオーディンよりも違う。
「面白そうね」
「実際に面白いから」
「読んでも損はないのね」
「明るいしためになるし」
 神様の本だけあってだ。
「いいんだよね」
「そうした本なのね」
「結構ファンタジーの要素もあるし」
「異世界転生じゃないわよね」
「それとは別のね」
 ファンタジーといっても色々だ、何か最近異世界に転生してそちらの世界でという作品が異常に多い。
「現実の世界とされてるよ」
「私達の世界でのことね」
「コーランはね」
「それでそのコーランだと」
「登場人物は聖書と違うから」
 同じ人である筈でもだ。
「前向きで活発でね」
「苦難を乗り越えて」
「ハッピーエンドになるから」
「よくもまあそこまで違うって感じかしら」
「うん、同じ様な話でもね」
 ダビデが王様に疎まれても聖書と違って最後は王様が認めて王位を譲るというから本当に全く違う展開だ。
「神罰も殆どないし」
「心の広い神様で」
「多少以上のことじゃ怒らないよ」
 このことも特筆すべきだと思う。
「旧約聖書とか本当に多いけれど」
「ちょっとしたことであるわよね」
「それがコーランだとないから」
 同じ神様かと思えないレベルでだ。
「余計に明るいんだよね」
「ダオ明るいお話好きだし」
「だったら余計にお勧めだから」
「読んで損はないのね」
「うん、期待していいよ」
 こう言ってだ、僕はダオさんと一緒にさらにお話をした。お空は暗いけれど僕達の話は弾んでいった。


第二百十二話   完


                  2018・11・16 
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