| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国異伝供書

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十一話 九州攻め前その九

「耶蘇教に傾き過ぎていて」
「他の神仏をないがしろにしておられまする」
「それが政を誤ってです」
「人心も離れていますな」
「そうじゃ、あの様なことをされては」
 到底というのだ。
「今の様に至るも当然であろうか」
「家が傾いてですな」
「島津家の前に今や風前の灯火」
「そうなることもですな」
「当然のことだったのですな」
「そうやもな、しかしな」
 それでもと言うのだった。
「その大友家を支える方々を忘れてはならぬな」
「それが立花殿、高橋殿ですな」
「そして二人のご子息ですな」
「その方々ですな」
「急ぎたい、島津家の大軍が岩屋城を囲む」
 間もなくというのだ。
「そこには高橋殿がおられる、高橋殿は大軍を前にして降られる方ではない」
「だからですな」
「あの方は死ぬ覚悟で戦われ」
「そのうえで、ですな」
「命にかえても大友家を守られますな」
「あれだけの方を失ってはならぬ」
 到底というのだ。
「だからな」
「ここは、ですな」
「必ずですな」
「高橋殿をお救いする」
「何としても」
「焦って進んではならぬが」
 それでもというのだ。
「あの方はお救いせねばな」
「なりませぬな」
「何としても」
「失うには惜しい方であるが故に」
「そうじゃ」
 その通りだというのだ。
「殿にも申し上げたが」
「右大臣様もですな」
「よしと言われましたな」
「左様ですな」
「高橋殿について」
「だから直臣にされたいのじゃ」
 救いたいと思うからこそというのだ。
「ならばじゃ」
「遅れてはなりませぬな」
「何としてもですな」
「失うにはあまりも惜しい方じゃ」
 それが為にもというのだ。
「何としてもじゃ」
「はい、それでは」
「ここはですな」
「高橋殿をお救いする」
「そうしましょうぞ」
「そういうことじゃ、では出陣の用意じゃ」 
 それに入ろうと言ってだ、そしてだった。
 明智は出陣の用意をさせてだった、その中で茶会も催してそこで母と妻に対して優しい声で言った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧