お菓子の家
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第一章
お菓子の家
三島麻里佳と谷崎亜紀は今は麻里佳の神託でカナダのオタワから北に行った森の中にいた。
森の中でモンスター達を倒しつつだ、麻里佳は共に冒険の旅をしている亜紀に言った。
「この森のあーしの神託やけど」
「何かやな」
「そや、一体な」
「そのことはな」
どうかとだ、亜紀は麻里佳に怪訝な顔になって応えた。
「まだわからんわ、けどな」
「それでもやな」
「ここに神託があるのは間違いないさかい」
それでとだ、亜紀は麻里佳に述べた。
「ちゃんと探していこな」
「そやな、ほなこの森の中をや」
「隅から隅までやな」
「歩き回って」
そのうえでというのだ。
「調べていこうな」
「そうしよな」
二人でこう話してだ、そしてだった。
二人は実際に森の中を歩いていったがふと森の中の野原に出るとだった。
クッキーやチョコレート、飴やビスケット、ケーキで造られた一軒家が出てきた。煙突もあって本格的な家だ。
その家を見てだ、麻里佳は亜紀に言った。
「あれやな」
「そやね、あれやね」
亜紀もその家を見つつ麻里佳の言葉に頷いた。
「お菓子の家やね」
「あの童話に出て来る」
「まさにその家や」
「ってことはや」
お菓子の家ならとだ、麻里佳は亜紀のその言葉に頷きつつだ。こうも言った。
「ここにおるのはな」
「魔女かいな」
「その可能性高いな」
「冗談抜きでな」
「ほな身構えて」
「ちょっと挨拶しよか」
お菓子の家にいるのは人食いの魔女である、それはお約束だと思いつつだった。二人はクッキーで造られノブがチョコレートになっている扉を叩いた。するとだった。
お約束の老婆が出てきた、しかもその老婆は魔族だった。それで二人共身構えたがその時にだった。
老婆からだ、こう二人に言ってきた。
「ああ、お客さんだね」
「一見してやろ、婆さん」
麻里佳はその手に金鎚や錐を出しつつ童話の魔法使いそのままに長い黒い服と三角帽子に杖を持っている老婆に言い返した。
「その実はあーし等を食べるんやろ」
「食べる?お前さん達をかい」
「そしてお家の中には囚われの兄妹がや」
「孫達のことかい」
老婆はこう二人に返した。
「今うちに遊びに来てるよ」
「嘘吐いたらあかんで、その子供達は森に入ってきてや」
「オタワからよく遊びに来て今日もだよ」
「まだ嘘を言うんやな」
「だからお前さん達何言ってるんだい」
「そやから婆さんあんた人食いぼ魔女やろ」
「職業は魔法使いだけれど人なんて食べないよ」
老婆は麻里佳に怒って言い返した。
「歯は丈夫だから猪の肉も食えるけれどね」
「猪の肉堅いけどか」
「熊も食えるよ、爺さんが狩人で今も狩りに出てるよ」
「爺さん?」
「そうだよ、私の旦那だよ」
生涯の伴侶、それだというのだ。
「もう五十年連れ添ってるよ」
「ほう、そうなんか」
「そうだよ、あと私は魔術はイギリスに行って学んでるから」
「そうなんやな」
「術以外にもね、それで」
老婆は麻里佳にさらに話した。
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