八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百十一話 紅葉が見えてその一
第二百十一話 紅葉が見えて
午後の授業も終えて部活に向かう時にだ、僕は茶道部の茶室の庭の紅葉達を見て一緒に体育館に向かっていた隣のクラスの大場君に言った。彼はバレー部だ。
「もう秋だね」
「紅葉も赤くなってきたな」
「うん、まだ完全には赤くなっていないけれど」
こう大場君に答えた。
「そうなってきたね」
「紅葉が赤くなってな」
大場君はこうも言った。
「銀杏も黄色くなったらな」
「秋って思うよね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「俺銀杏の色好きだけれどな」
ここでこんなことをだ、大場君は僕に言った。
「匂いはな」
「銀杏のだね」
「あれは苦手なんだよね」
「きつい匂いだからね」
僕も銀杏の匂いも知っていて言えた。
「はっきりと言うとね」
「うんこの匂いだからな」
「うん、臭いんだよね」
「俺あれの実も好きなんだよ」
銀杏のそれがというのだ。
「茶碗蒸しとかに入れてな」
「通だね」
「ああ、けれど匂いきついしな」
はっきり言って臭い、タイやベトナム等東南アジアから来た子達はドリアンもそうだと言っているが確かにあれも酷い匂いだ。
「食うのに手間かかるんだよな」
「結構以上にね」
「それで食うってな」
大場君は僕にどうかという顔で述べた、本当に紅葉の色が段々奇麗な赤色、紅と言っていいその色になってきているのを見ながら。
「凄いよな」
「最初に食べた人凄いよね」
「本当にな、エスカルゴもだよな」
「あれもね」
フランス料理で有名な食材だ。
「凄く手間かかるんだよね」
「食うまでにな」
「下ごしらえが大変で」
「そうして食うよな」
「美味しいけれど」
それでもだ。
「贅沢で大変な食べものだよ」
「あれって要するに蝸牛だろ」
大場君は身も蓋もないことをここで言った。
「つまりは」
「そう言うとそうだけれどね」
「そんなの食うとかも凄いよな」
「銀杏も凄いけれどっていうんだね」
「ああ、よく食ったよな」
「ローマ帝国の時から食べていたらしいよ」
そう思うと古い、尚日本人が養殖に成功するまで養殖出来ていなかったことは聞いて意外だと思った。
「その頃に最初に食べた人はね」
「凄い奴だな」
「そうだよね」
「銀杏、それに海鼠とか海胆とかな」
大場君は海の幸も挙げた。
「よく食ったよな」
「その時よっぽど食べものがなくて」
「それで食ったのか」
「そうかもね、あと僕食べたことないけれど」
大場君に少し考える顔で話した。
「ドングリね」
「ああ、あれな」
「あれも食べるのに時間かかるんだよね」
「何か渋みを取ってな」
「そうして食べないとだよね」
「駄目らしいな」
「あれはね」
ドングリはだ。
「よく山に落ちてるけれど」
「それを食うとな」
「すぐには駄目なんだよね」
「渋みを取らないと」
そうしなければというのだ。
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