八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百十話 食堂からその十六
「もうね」
「評判が悪くて」
「それでね」
まさにだ。
「すぐにわかるよ、ばれない様にって思っても」
「人はですね」
「見ているからね」
「それは絶対ですね」
「壁に耳あり障子に目ありだから」
それが世の中だ、見られていない様で見ている。自分は他の人に取り入って上手にやっているつもりでも周りからは蛇蝎の様に忌み嫌われていることも常だ。
「だからね」
「それで、ですね」
「そうした連中もね」
「人に見られていて」
「評判も悪いよ」
「必然的にそうなりますよね」
「だから評判も聞いて」
そのうえでだ。
「考えていくよ」
「それで若しその裏切った人だとわかったら」
「その瞬間でね」
あの人の話を聞いて決めた、人をここまで傷付けて人格を変える様な連中は絶対に許せないと思って。
「関係を切るよ」
「その人達が義和さんの知り合いにしたみたいに」
「いや、意趣返しじゃないよ」
「では何でしょうか」
「信用出来ないからだよ」
理由はそこに尽きた。
「それでだよ」
「お付き合いを絶ちますか」
「そんな連中友達に持つとかね」
「考えられないですか」
「人には長所と短所があるよ」
その両方がだ、僕にだってある。親父なんか破天荒な遊び人でとんでもない酒好きで女好きだけれど絶対に暴力は振るわないし筋は通っている。親父を見て人間には長所と短所があることがわかった。
「悪い面は誰にもあるけれど」
「その悪い面がですか」
「あんまりだから」
そんな連中の長所とか知りたいとも思わない、僕にとっては昨日の今日でそんなことを平気で出来ることだけで論外だ。
「もうね」
「長所は関係なく」
「信用しなくて」
それでだ。
「関係切るよ」
「そうされますか」
「そう決めてるよ、ただね」
「ただ?」
「その連中が今どうしているか」
「そのことはですか」
「知らないんだ、八条学園高等部にいたそうだけれど」
このことは聞いている。
「けれどね」
「詳しい居場所はですか」
「大学はこっちじゃないみたいだから」
八条大学にはいないらしい。
「関西にもいないかもね」
「そうですか」
「その人は八条大学にいるけれど」
そうして今も心の傷、トラウマに苦しんでいる。
「振った女の人も大学にはね」
「いないのですか」
「そうみたいだよ、傷を抉り出していた人達も」
その人はこの人達も今でも怨んでいる、どれだけの仕打ちを受けたのか気になるけれど聞くつもりはない。人の心の傷になんて入り込むものじゃないからだ。
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