八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九話 運動会前その十四
「あとハンガリーもね」
「あの国もですよね」
「うん、マジャール人の国でね」
教科書でもこう書かれている。
「名前だってね」
「日本や中国と一緒で」
「苗字が先に来るんだ」
そして後に名前が来る。
「そうなるんだ」
「そうですよね」
「だからあの悪名高きエリザベート=バートリーも」
正直信じられない、何百人もの女の子を殺してその血を搾り取って血の風呂に使って永遠の美貌を望んだとか。鉄の処女とかいう拷問道具も信じられないけれど何百人も殺したことは事実だったらしい。
「あの人も本当はね」
「名前の順番が違いますか」
「あの人もハンガリーだから」
今でもあの国では魔人扱いされているとのことだ。
「バートリーが苗字だからね」
「バートリー=エリザベートですか」
「この呼び方になるんだ」
「そうなんですね」
「うん、だからね」
そうなるからだ。
「ハンガリーもね」
「アジア系なんですね」
「かなり混血してるけれど」
それでもだ。
「アジア系なんだよね」
「元々は」
「あの国もね」
「それでフィンランドもですね」
「そうなんだ、欧州にあっても」
それでもだ。
「アジア系の国なんだ」
「そうなりますね」
「それでだけれどね」
僕はここでまた千歳さんに話した。
「話を戻すけれど」
「はい、ノルウェーの娘のお話ですね」
「一七〇以上あるんだね」
「そうなんです、その娘と並んだら」
そうなればというのだ。
「頭一つ分違っていて」
「どうかって思ってるんだ」
「はい」
その通りだという返事だった。
「もっと背が欲しいって」
「切実みたいだね」
「切実ですよ、あと五センチでいいですから」
一五五センチあればというのだ。
「本当に」
「それで充分なんだね」
「私としては」
「その娘みたいにならなくていいんだ」
「一七〇以上ですか」
「そこまではいいんだ」
「はい、そこまで思いますと」
どうかとだ、千歳さんは僕に話してくれた。
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