妖剣

「造られてだ」
「魂もね」
「込められた、刀鍛冶はだ」
　まさにというのだ。
「自分の全てを注ぎ込んだ、余命幾許もなかったが」
「その中で最高の作品をね」
「そうだ、最後にしてな」
　そうした想いを剣を造る中で込めてというのだ。
「私を造って魂を持ったのだ」
「それで今もなのね」
「こうして動いている」
「成程ね、それで何で闘ってるのかしら」
「それは本能だ」
「本能？」
「私は剣だ、剣は戦いの為のものだ」
　武器、だからだというのだ。
「それでだ」
「今もなのね」
「闘ってだ」
　そうしてというのだ。
「生きているのだ」
「そうなのね」
「私が生まれたこの島でな」
「そのこともわかったわ」
「それは何よりだ、私は満足するまで闘いたい」
「満足、なのね」
「これまで多くの屈強な者、腕の立つ者と闘ってきたが」
　それでもというのだ。
「まだだ」
「まだ満足していないんだね」
「そうだ、どの者も強かった」
　これは剣の主観による言葉だった。
「強い者を倒してきた、だが満足する為には闘いの中で何か別の感情を知ることが必要ではないか」
「そう思うのね」
「そう思いつつも闘ってきたが」
「わかったわ、じゃあその感情をね」
　それをとだ、雪路は剣に身構えたまま言葉を返した。
「今から教えてあげるわ」
「私と闘ってか」
「そうしてね」
　こう言ってだった、雪路は宮子は見守る中で剣との闘いに入った、剣は大きな刀身からは想像出来ないまでに素早い動きで雪路に襲い掛かった。
　だが雪路は術で剣の動きを鈍くしてから自身の動きを素早くしさらに分身や重力の術も使ってだった。
　剣と術を絡めて闘った、そうして間合いを取ってカイザーナックルから威力を強めた気の弾を放ってだった。　
　剣にダメージを与えていった、そのうえで剣が止まった瞬間にだ。　
　剣に駆け寄って右のアッパーを浴びせてだ、空中に激しく回転させてだった。
　落ちたところでその柄を掴んでだ、剣に問うた。
「どうかしら、今の気持ちは」
「何だこれは」
「持たれた気持ちは」
　それはどうかと問うのだった。