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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百八話 不運のチームその九

「それでもね」
「巨人は正義だったの」
「日本では」
「そうだったんだよ」
 おかしなことにだ。
「マスコミが親会社でそう宣伝したせいか」
「悪いことばかりしてるのに」
「清原みたいな選手もいたのに」
「それでもなのね」
「巨人は正義だったのね」
「球界の盟主とか紳士とか」 
 今じゃ殆どの人が信じていない言葉だろう、強いて言うなら巨人は球界の北朝鮮ひいては全世界の良識ある人達の永遠にして普遍の敵だ。
「宣伝されてたんだ」
「殆ど北朝鮮よね」
「そんな宣伝ってね」
 二人もこう話した。
「そんな嘘八百の過剰宣伝ばかりだと」
「もうあの国よね」
「日本のマスコミって北朝鮮好きだから」
 これは今もだ。
「会社ぐるみでそんなところもあるし」
「それでなの」
「そんな過剰宣伝になってたの」
「事実無根の」
「そんな風だったの」
「そう、それでね」
 僕は二人にさらに話した。
「巨人が正義とか盟主とか紳士とか」
「ずっと言われていて」
「ファンも多かったの」
「新聞だとやたら出て」
 親会社の新聞にだ。
「それでテレビでもね」
「試合中継されてて」
「だから人気あったの」
「巨人の人気はマスコミの力ね」
「それが大きかったのね」
「そうだよ、けれどマスコミも力がなくなって」
 勿論親会社もだ。
「ネットが普及してね」
「他のチームも宣伝されて」
「しかも巨人の本当の姿も知れ渡って」
「お金もなくなって」
「それでああなったのね」
「そうだよ、マスコミの力がなくなれば」
 親会社のだ。
「それでね」
「お金もなくなるわね」
「力がなくなれば」
 二人もその辺りはすぐに察した、力がなくなればそこに集まってくるお金も減っていくのは世の流れだ。
「それでなのね」
「巨人は今お金がないのね」
「そうなって今や赤貧球団だよ」
 この通称も完全に定着した。
「何をするにも困ってる」
「それでいい選手も来なくなって」
「育成も満足に出来なくて」
「監督さんの成り手もいなくなって」
「十年連続最下位になったのね」
「それで巨人がそうなったら」
 最下位が完全に定位置になってだ。
「日本がね」
「元気になったのね」
「そうなったのね」
「うん、バブルの後の長い不景気は」
 失われた十年や二十年と言われているそれだ。
「親父が言うにはマスコミ不況だったっていうしね」
「マスコミ不況?」
「それどういうこと?」
「マスコミが連日連夜テレビや新聞や雑誌で不景気って言って」
 親父が言うには特にテレビが酷かったらしい。
「皆不景気だって思って落ち込んでね」
「不景気になった」
「そんなのだったの」
「親父が言うにはね」
 あくまで親父の言葉だ。 
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