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おぢばにおかえり

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第四十九話 合格してからその十三

「高いわよね」
「はい、ですから」
「ソプラノだっていうのね」
「ソプラノでもかなり高いですね」
「そうなの」
「その高さですと」
 それだけにというのです。
「歌う曲も面白い曲があるみたいですよ」
「面白いっていうと」
「モーツァルトとかの」
 あの有名な音楽家の、というのです。
「そうした曲が」
「私クラシックはあまり知らないけれど」
「僕も最近勉強しはじめたばかりですよ」
 クラシックのことはというのです。
「ですがモーツァルトでもいい曲ありまして」
「それでなの」
「歌えますよ」
 私の声の高さならというのです。
「かなり難しい曲ですけれど」
「難しい曲って」
「魔笛の曲なんですけれど」
「魔笛?聞いたことあるけれど」
「オペラです」
 阿波野君はふと心当たりのあった私にすぐに答えてくれました。
「モーツァルトって色々作曲してまして」
「オペラも作曲してて」
「その中の曲なんですけれど。復讐は地獄の様にって」
「おどろおどろしいタイトルね」
「ですが歌う人は先輩みたいにソプラノでも高い音が出せて」
 西の礼拝堂への階段を二人で登りきりました、そうして礼拝堂の前でまたお辞儀をしてからです、阿波野君は私と礼拝堂の中に入りながら私に言いました。
「小柄で可愛い人が歌うことが多いんです」
「そうした歌なの」
「タイトルはそんな感じですが」
 それでもというのです。 
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