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戦国異伝供書

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第二十九話 安土入りその十

「やがてはな」
「何処かの家か寺社にですな」
「狙われてじゃ」
 そうしてというのだ。
「やがてはな」
「弑逆されていましたか」
「うむ、そうなっておったわ」
 こう言うのだった。
「必ずな」
「人の心が離れた結果として」
「そうなっておったわ」
 足利義教についてはというのだ。
「あの者はな、じゃが高田家についてはな」
「はい、これからは」
「よく調べてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「まさに妖しい家ならばな」
「その時は」
「わしは六代様とは違う」
「では」
「いきなり滅ぼす様なことはせぬ」
「ではどうされますか」
「帝にお話してじゃ」
 高田家のことをというのだ。
「お許しを得てじゃ」
「それからですか」
「そうじゃ、あの家をな」
「滅ぼすのですな」
「必要とあればな、しかし今はな」
「高田家については」
「我等は他にやることが多い」
 天下の政、それにだ。
「だからじゃ」
「今は、ですか」
「高田家のことは置いておいて」
「そのうえで」
「他のことをしていく、天下に妖しい者は他におるしな」
 天海達もというのだ。
「だからな」
「それで、ですな」
「高田家は放っておいて」
「調べるのもこれまでですか」
「おかしなことはせぬか見張ってはおく」
 明智達にそうするとは述べた。
「だがな」
「それでもですな」
「あの家にはまだ手出しはせぬ」
「そうしていきまするか」
「そうじゃ、他のことをしていくぞ」
 その天下の政をというのだ、そして天海達を追い百地達のことも調べていくというのだ。
「そしてお主達だからこそ言うが」
「朝廷のこともですな」
 明智が応えた。
「これからは」
「うむ、天下を治めるには官位もじゃ」
「必要ですな」
「一時は離れることもあろうが」
 それでもというのだ。
「やはりじゃ」
「治めるのにはですな」
「欠かせぬ、権威はな」
 それはというのだ。
「どうしてもな」
「だからこそ」
「官位も必要であるし朝廷ひいては帝をお護りしているとなると」
「天下を治める大義にもなりますな」
「だからじゃ」
 それ故にというのだ。
「よいな」
「はい、それでは」
「朝廷に金や銀もどんどん献上するぞ」
「公家の方々にもですな」
「平安の頃の雅な暮らしをして頂く」
 朝廷の帝そして公家達にというのだ。
「そしてじゃ」
「その支持を受け」
「そしてな」
「そのうえで」
「天下を治めていきたいからな」
「だからですな」
「これまで以上にじゃ」
 朝廷にはというのだ。 
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