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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七話 イギリス文学と日本その六

「行動に何処か美学がありますね」
「そうしたキャラクターに書かれること多いですね」
「ホームズが光なら」
「教授は影ですね」
「そうしたキャラですから」
 このこともあってというのだ。
「私も魅力を感じています」
「光と影ですか」
「そうです、コナン=ドイルはホームズという素晴らしい探偵を生み出しましたが」
 今も冗談か本気か彼の事務所がありベーカー街の事務所に仕事の依頼の手紙を送る人がいるらしい。
「同時にです」
「モリアーティ教授もですね」
「生み出しました」
 この稀代のアンチヒーローもというのだ。
「そうしたのです」
「それも才能ですよね」
「トリックとそれを解決する推理に」
「優れたキャラクターですね」
「ドイルが偉大であることは」
「そうしたことが出来たからですね」
「私はそう思います、それで義和様の次の読書は」
 ここで僕にこう聞いてきた。
「どの本にされますか」
「イギリス文学にしたくなりました」
 僕は畑中さんに笑って答えた。
「それも三銃士っていう長編の後なので」
「短い作品ですね」
「それを読もうと」
「ではシェークスピアは」
「最適ですか」
「まだ読んでいない作品があれば」
「それをですね」
「これはと思った作品を」
 シェークスピアのそれの中でというのだ。
「読まれていいです」
「シェークスピアの作品ならですか」
「外れはないですか」
「まさにですね」
「はい、コリオレイナス等も」
 この作品もというのだ。
「よくリア王等の後で力がないと言われていますが」
「シェークスピアの中ではマイナーですかね」
「確かに知名度は低いですね」
「そうですよね」
「作品としての評価も高くないです」
 シェークスピアの作品の中ではというのだ。
「ですがこの作品もです」
「畑中さんとしてはですか」
「お勧めです、政治そして人間について」
「考えさせられますか」
「そうです、悲しい話ですが」
 それでもというのだ。
「そこにあるものもやはり」
「人間ですか」
「一言で言えば業です」
 畑中さんは仏教のこの言葉でだ、この時はシェークスピアを述べてくれた。
「人間が生来持っていてその人生の中で育んできた」
「それがあるからですね」
「読んでいてです」
 そうしてというのだ。
「決して悪くはないのです」
「そうですか」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「この作品もいいです」
「わかりました、じゃあ次は」
「コリオレイナスをですね」
「読んでみます」
「この八条荘の書斎にもありますので」
「そうなんですか」
「福田恒存訳で」 
 僕も知っている人だ、シェークスピアについての日本での権威で保守系言論人のリーダーの一人でもあった大学者だ。
「あります」
「その人の訳ですね」
「義和様もこれまで読まれていますね」
「後書きの説明も凄いですよね」
 そちらも読んだけれどだ。 
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