八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七話 イギリス文学と日本その二
「味も外見も、ですから」
「私もイギリスに行ったことがありますが」
「やっぱりですか」
「オートミールも」
これもイギリス料理とは言えないと思う、欧州各国で食べられているからだ。この料理も食堂にある。
「日本のものの方が」
「美味しいんですね」
「ハギスも」
「ああ、スコットランドの」
「あまり」
これだけでわかるから不思議だ。
「そうしたものなので」
「じゃあ僕もイギリスに行ったら」
「食に絶望した国を言われることはです」
「伊達じゃないんですね」
「左様です」
実にわかりやすい返事だった。
「お覚悟を」
「じゃあイギリスに行ったら」
「もうその時はです」
「美味しいものは諦めるべきですか」
「朝昼晩朝食かティータイムか」
「凄いですね」
栄養バランス的にもとだ、僕はやや絶句した。
「味がどうも」
「中華街かマクドナルドに行かれますと」
「困らないんですね」
「左様です」
「お寿司屋さんは駄目ですよね」
日本人としてこのことを聞いた。
「確か」
「我々がお寿司と呼ぶものは出ないです」
「お握りみたいなのとかが出るんですよね」
「チーズケーキの形の様なものが」
「何ていいますか」
ここで僕はある漫画を思い出した、もう四十年かそれ位は続いている子供の王様を主人公にしたギャグ漫画だ。
「髪の毛が長くて同性愛者の少佐さんがステーキとワインだけなのも」
「頷けるというのですね」
「味が本当に」
もう聞いただけ、見ただけでだ。
「壮絶なんですね」
「ハリー=ポッターの食堂はご馳走とのことです」
「あれがですか?」
僕は畑中さんの今のお言葉に真剣に聞き返した。
「おやつ食べる時も」
「左様です」
「あんなので」
「その様です」
「僕あの映画観ましたけれど」
あの魔法、そして魔法使いを描いた姿は実に素晴らしいと思った。イギリスの街並も服装も素敵なものだった。
しかしだ、料理についてはだ。
「何この食事って思ってました」
「粗食でしたね」
「それも相当に」
うちの学園の高等部の寮の食事を知っているけれど比べものにならない位いい。
「修道院の食事みたいですね」
「修道院ではないので」
「魔法学校ですよね」
「ですがそれでもです」
「あれですか」
「そしてあの状況で、です」
「ご馳走なんですね」
信じられないことにだ。
「そりゃお魚の頭や丸ごとのロブスターが出たパイが出ますね」
「イギリスは音楽や街並、そして文学ですね」
「そうしたものを楽しむ街ですね」
「そしてファッションを」
「いいところが多いことは事実ですね」
「あの文化はです」
食文化以外のそれはというのだ。
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