八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百六話 イギリス風メイドその十三
「ストーリーは破綻しないし登場人物もね」
「全部把握されていて」
「矛盾なく登場していた」
「そうだったのね」
「紫式部はよく考えていたと思うよ」
作品全体についてだ。
「しかもよく覚えていたし」
「だから破綻とか矛盾なく書けたってことね」
「あんな長い作品が」
「そうだよ、ストーリーって結構簡単に破綻するから」
僕が今まで読んだ漫画や小説でもよくあったことだ。
「強いキャラが引き立て役になったりとかね」
「最初強かったのにね」
「それが急に弱くなるのよね」
「所謂雑魚になって」
「簡単に負けるのよね」
強敵にだ、もうちょっとだけの漫画なんてそうしたキャラがどれだけ出て同じ展開が繰り返されたか。
「そうなるから」
「本当にちょっと油断するとね」
「それで人気出たりするから」
そんな展開でどうして人気が出るのか、僕にはわからない。
「続くけれど」
「ストーリーの破綻はもっと酷くなって」
「どうしようもなくなるのね」
「矛盾が矛盾を呼んで」
そうなってしまう漫画もある。
「どうしようもなくなったりとかもね」
「あるわよね、本当に」
「日本の漫画でも」
「けれど紫式部はなかったから」
源氏物語は最後まで矛盾も破綻もなかった、相当長い間書いていて量も相当なものだったのにというのだ。
「本当に凄いよ」
「さっき義和が言ってた小説家さんに教えてあげたいわね」
「そうよね」
テレサさんもモンセラさんも言った。
「日本叩くよりもね」
「それも出鱈目に」
「ちゃんと書く」
「それが大事よね」
「何しろ主人公達も世界も全く動いていないのに」
ストーリー展開はそのままでだ。
「時代背景が急にタイムスリップするから」
「物凄いわね、それ」
「急に時代が動くとか」
「もう破綻なんてものじゃなかったから」
これは本当に編集者がチェックしたのか不思議な位だ。
「そんな作品と比べたら」
「それこそよね」
「紫式部は偉大よね」
「偉大っていうか聖人?」
「その域よね」
「ああ、キリスト教だと神様は一柱だけだし」
僕は二人がどうして紫式部が聖人なのか理解して頷いた。
「そこで小説の神様とはね」
「言えないから」
「だからこう言ったの」
「そうだね、日本だとそのままね」
八百万の神々がいて仏様までいる国だ、もっと言えばキリスト教も入ってるし道教もある。天理教もだ。
「言えるんだけれどね」
「日本の宗教だとね」
「それが出来るから」
「だからよね」
「出来るのね」
「うん、だからね」
それでとだ、僕も二人に答えた。
「僕は紫式部を神様って言ってたよ」
「小説の神様って」
「そう言うのね」
「うん、それでさっき言った人なんて」
もう作品を二度と読まない、十四巻なんて出なくても十三巻のあの出来なら未来永劫出なくていいという人と比べるとだ。
ページ上へ戻る